2017年10月29日日曜日

2期 第5回ゼミ

 ゼミ生のYです。

 2期第5回ゼミを行いました。内容は今までと同様、新書紹介とJ.S.ミル『自由論』の輪読をしました。

 新書紹介では、まず相澤先生が渡辺克義著『物語 ポーランドの歴史』を紹介してくださいました。コラムのエスペラント語について、これを考案したユダヤ系ポーランド人のルドヴィコ・ザメンホフはその出自から、異文化コミュニケーションの方策として創造し共通語として広めたいと考えましたが、残念ながら話者はそこまで増えていないそうです。そこにユダヤ人迫害や差別の関わりを考えると、宗教のあり方とは何なのだろうと思ってしまいます。
 次に私が石井洋二郎著『パリ 都市の記憶を探る』を紹介しました。街そのものが骨董品のような花の都・パリですが、それら全てはただの美術品ではなく、都市と郊外の差異という社会的背景が投影された象徴空間であるとしてパリの様々な場所を探訪していくという内容でした。2月にパリで海外研修を行う予定ですが、街路全てに偉人の名前が付いているとのことで、歩くたびに通りの名前を確認したいです。それはそれで楽しそうですよね。
 最後にRさんが鹿島茂著『フランス歳時記 生活風景12か月』を紹介しました。これはフランスの月ごとの様子が書かれてある本で、そこからいくつかピックアップしてくれていました。私は中でも「劇場のない秋は、ヴァカンスのない夏のようなもの」という考え方が芸術のフランスらしく、日本にはあまりない感覚で面白かったです。

 『自由論』では第1章を少しずつ読み進めていますが、人間社会での意志とは必ずしも総意にはならず、それがまた自由に対する考え方の違いにも現れているのだろうかと思いました。まだ序盤ですが、漠然としているようで事実と深く根付いており、読み解いていくのが難しくも楽しく感じます。次回はフランス映画を鑑賞しますが、そちらも楽しみです。

2017年10月22日日曜日

2期 第4回ゼミ

 ゼミ生のRです。

  後期第4回目のゼミを行いました。今回のゼミも各々が選択したヨーロッパに関する新書の紹介、またJ.S.ミル『自由論』を輪読しました。

  新書の紹介では、初めに相澤先生が石川美子著『ロラン・バルト―言語を愛し恐れつづけた批評家』を紹介されました。この書はロラン・バルトの伝記ですが、バルトの思想についてはさわり程度であまり展開はされていないそうです。しかしバルトの思想について細かく知りたいのであれば原本等、方法はいくらでもあるので逆にそれ以外に重点が置かれている本書は読みごたえがありそうだと思いました。

  次にYさんが遅塚忠躬著『フランス革命―歴史における劇薬』を紹介しました。本書はフランス革命を劇薬と例え、それについて検証をしていく内容です。紹介を聞いていると、フランス革命について知識不足な私にも分かりやすく読み進めることが出来そうな印象を受け、読んでみたいと思いました。革命に犠牲はつきものなのか?革命は現在にどのように生かされているのか?と様々な疑問が浮かび上がってきて、それを考えるだけでも深い理解の一歩を踏み出せそうです。

  最後に私Rが増田四郎著『ヨーロッパとは何か』を紹介しました。本書は「ヨーロッパとは何か」ということを根本的な部分から探求していて、非常に読みごたえのある内容でした。私達が何気なく言う「ヨーロッパ」とは一体何であるのか、ということを、普段は見落としている視点から根本的な理解へと努めていくので、すでにある知識の補完としても役立てることが出来ます。

  そしてゼミの後半に、J.S.ミル『自由論』を輪読しました。現在は第一章を読み進めています。内容にふれる中で、私自身もう少し政治に関して関心意欲を高めなければという気持ちが芽生えてきます。次回の輪読も楽しみです。

2017年10月13日金曜日

舞台観劇 『トロイ戦争は起こらない』

 ゼミ生のYです。

 先日、ゼミ終わりに相澤先生とゼミ生二人で新国立劇場にて鈴木亮平さん主演の演劇『トロイ戦争は起こらない』を観劇してきました。私は新国立劇場には初めて行ったのですが、無駄のない洗練された外観に広々としたロビーはとても美しく、質の高い劇場であると感じられて身が引き締まるように思いました。

 『トロイ戦争は起こらない』は、ギリシャ神話においてトロイの国の王子パリスがギリシャの王女エレーヌを誘拐したことから始まるトロイ戦争を舞台に、パリスの兄である主人公エクトールがどうにか戦争を起こさせまいと奔走するフランス近代演劇の不朽の名作です。戦争を避けようとしたが故に結局戦争が起こってしまうという皮肉な話でしたが、戦争というのは双方ともに張り合えるくらいのレベルであるとき、ほんの些細なきっかけから起こるもので、戦争や平和の在り方を根本から考えさせられる戯曲でした。

作者のジャン・ジロドゥは第一次世界大戦をその身で経験しこの作品を書いたわけですが、だからこそ人々の考え方や動きがリアルで、神話という世界観ながら臨場感ある舞台に感じました。少し難しい言葉や言い回しの長台詞が多く、なかなかすぐには理解しづらい部分もありましたが、役者さん方の熱演は痛切に心に響きました。また、重いシナリオである中笑いを起こさせる場面もあり、飽きさせないような工夫がされているのだなと感心しました。特に第二幕ではとてもタイムリーなジョークなども出て、私も思わず笑ってしまいました。

 舞台セットは最初からずっと変わらず、シンプルで無機質な灰色の円形舞台で、役者さんの演技がより際立って見えました。主演を務めた鈴木亮平さんの演技はその逞しい体格も相まってとても迫力があり、熱がこもっていて圧倒されました。加えてギリシャの智将オデュッセウス役の谷田歩さんも強い気迫でくっきりとした存在感があり、終盤のエクトールとオデュッセウスの会話シーンは鮮烈に印象に残っています。

 時代背景や流れをほとんど知らない状態で観たため、後から調べてようやく腑に落ちた場面がいくつかあり、少し予習してから観ると良かったかなと今になって思います。その上でもう一度集中して観たい舞台でした。来月のゼミ終わりにはまたこちらの劇場で『プライムたちの夜』を観劇予定です。アンドロイドは愛するものの代わりになれるのか、人工知能はどこまで人間の愛に介入できるのか・・・今からとても楽しみです。

2017年10月11日水曜日

2期 第3回ゼミ

担当教員の相澤です。今日も、今週読んだ本の紹介とミル『自由論』の輪読を行いました。

前半は、Rさんが篠沢秀夫『フランス三昧』(中公新書)を、Yさんが高山一彦『ジャンヌ・ダルク 歴史を生き続ける「聖女」』(岩波新書)を、そして私が三瓶恵子『女も男も生きやすい国、スウェーデン』(岩波ジュニア新書)を紹介しました。

今日の課題は、「文章を区切って話すこと」と「質問を二つすること」でした。発表するときは普段のおしゃべりとは違って、聞きやすさを意識しなければなりません。その第一歩として、文章を区切ることを心掛けようと指導しました。

 一方、充実した発表にするためには、発表者だけでなく聞く側も協力しなければなりません。たとえば、質問をすることは「あなたの発表に興味をもった」というメッセージになり、議論を活発にします。このゼミでは、いつも他の人の発表に対する質問かコメントを一つするようにしています。しかし、コメントは時に独りよがりな感想にもなりかねません。相手の発表に対応した質問をする力をつけるため、今日はあえて質問を二つするという指導をしました。

1期での読書発表の訓練を経て、ゼミ生二人とも上手に発表できるようになりました。とはいえ、まだまだ上を目指せます。各回のゼミでやることは基本的に同じですが、少しずつレベルアップできるよう、指導を工夫していこうと思っています。


2017年10月7日土曜日

2期 第2回ゼミ

 ゼミ生のRです。

  後期第2回目のゼミを行いました。今回のゼミは各々が選択したヨーロッパに関する新書の紹介、またJ.S.ミル『自由論』の冒頭部分を音読しました。

  新書の紹介では、初めに相澤先生が黒田龍之助著『外国語を学ぶための 言語学の考え方』を紹介されました。語学は繊細なものですが、私達はそれに対して誤った認識や捉え方をしている可能性があります。そのような可能性を見直し、「今一度言語学の捉え方を考え直す機会となる本」というような印象を受けました。

  次にYさんが南川高志著『新・ローマ帝国衰亡史』を紹介しました。多民族を受け入れる寛容さを持っていたローマ人の精神が他者を受け入れないものに変質し、そのことがローマ帝国の衰亡に繋がっていったのではないかという内容でした。紹介を聞いた限りでも非常に興味深い内容でした。語られている政治史等、実際に自分で読んで学んでみたいです。

  最後に私Rが小林善彦著『パリ日本館だより フランス人とつきあう法』を紹介しました。フランス人の素顔が書かれていて、フランス文化や風習について多くの発見がありました。今後ゼミでフランスへの合宿をひかえている私達に非常に為になる内容だったのではないかと感じます。著者の経験から具体的にノウハウが語られているので、分かりやすく尚且つ面白くフランスについて学ぶことが出来ました。

  そしてゼミの最後に、J.S.ミル『自由論』の冒頭部分を音読しました。まだ本題には触れていませんが、少し内容を読んだところ自由について分かりやすく丁寧に解説されている印象を受けたので、今後読み進めていくのが楽しみです。

  後期もたくさんの本にふれていきたいと思います!