2017年12月25日月曜日

2期 第11回ゼミ

 ゼミ生のRです。

 2期第11回目のゼミを行いました。今回も各自の新書報告という内容です。

 最初に相澤先生が今井宏平『トルコ現代史 オスマン帝国崩壊からエルドアンの時代まで』(中公新書、2017)を紹介されました。同書は、トルコ共和国の約100年の歴史について書かれています。変容しつつある外交の指針についての内容もあるようで、本当に最近の事柄まで記述されているという印象を持ちました。また、前回のゼミ後にトルコについてのミニ講座に出席したこともあり、興味深かったです。

 次にYさんは新書を2冊報告してくれました。1冊目は黒岩徹『イギリス式生活術』(岩波新書、2003)です。これは、「ドント・パニック」の精神やイギリス人の「ゆとり」の心について、著者が実際に目にした体験も交えながら紹介しています。自国との文化の差はあれど、大人としての心の持ち方、生活態度を知る一つの指標となりそうだと思いました。
 2冊目は宮下規久朗『ヴェネツィア 美の都の一千年』(岩波新書、2016)です。ヴェネツィアの歴史と魅力が紹介されています。多くのカラフルな美術品の紹介もあり、楽しくヴェネツィアについて学べそうな一冊でした。

 最後に私Rが羽場久浘子『拡大ヨーロッパの挑戦 アメリカに並ぶ多元的パワーとなるか』(中公新書、2004)を紹介しました。ヨーロッパ統合がどのような意味を持つかについて詳細に語られていました。その内容を踏まえて、日本は今後地域協力をどのように進めていったら良いのかと考えさせられました。フランス等の大国の視点だけでなく、当時のEU新加盟国にも焦点を当てているので、より深くヨーロッパについて知ることが出来ました。

 今回は年内最後のゼミ活動でした。今までヨーロッパ関連の新書を読んできた積み重ねで、以前より文化や政治への理解が深まっていると感じます。活動も残りわずかとなりましたが、年明けもよろしくお願いします!

2017年12月13日水曜日

2期 第10回ゼミ

担当教員の相澤です。急に寒くなって風邪が流行る季節になりました。今日は、Rさんと私の二人で新書紹介を行いました。

まず私が、 最近読んだヨーロッパ関連本を三冊紹介しました(新書二冊と文庫本一冊)。まず、一冊目はソポクレス『オイディプス王』(河合祥一郎訳)です。最近光文社古典新訳文庫から新訳が出たので、久しぶりに読み返しました。思想的に解釈するのはもちろん興味深いことですが、物語として何度読んでも面白い!Rさんは未読とのことだったので、ネタバレはせずに、まずはまっさらで読むことを強く薦めました。

二冊目は、宮川裕章『フランス現代史 隠された記憶』(ちくま新書、2017)です。これは、第一次世界大戦、第二次世界大戦、そして戦後のフランスのある意味暗い歴史を紹介する本でした。とりわけ興味深かったのが第四章「ユダヤ人移送の十字架」です。先日、ゼミでホロコーストについて学びましたが、ナチスドイツ占領下のフランスからも多くのユダヤ人が絶滅収容所へ移送されました。その過程には当然、フランス人も関わっています。あまり表立って論じらることのないフランスにおけるホロコーストの記憶について知ることができる点で、機会があればゼミ生と読みたいと思いました。

 三冊目は、津島佑子『快楽の本棚』(中公新書、2003)です。これは、小説家である著者の、自伝的読書案内です。洋の東西を問わず、名作が、時代背景とその時代を生きた著者の体験とともに紹介されています。有名な作品ばかり(ですが、私は読んだことないものもたくさんありました)なので、学生さんは参考にするとよさそうです。読書案内の裏のテーマとして、日本と西洋の根本的な違いというものが語られている点が興味深かったです。

Rさんは、庄司克宏『欧州連合 統治の論理とゆくえ』 (岩波新書、2007)を紹介してくれました。同書では、EUという国家を超えた統治体がどのような仕組みで成り立っているのか、自由貿易と市場統合というEUの原則が、各国の社会や文化にどのような影響を及ぼすのかといった問題が解説されています。この本は2007年に出版されています。2017年に本書を読むと、10年前の時点で指摘されている市場統合と文化の多様性の対立が噴出しているのが現在なのだと実感しました。

ゼミ生は、毎週、フランスあるいはヨーロッパに関する新書を一冊読んでいます。ゼミも後半にさしかかった今、本を通して、ヨーロッパの歴史、文化、政治システムなど様々な観点から知識を深められていることを感じます。2月に実施するフランスでのゼミ研修で、本で得た知識と実際のフランスの一致と違いを体感してもらうのが楽しみです。

追記:ゼミとは別に、本日学内で行われたトルコの言葉と文化を紹介するミニ講座に二人で出席しました。トルコの基本情報から言葉の構造、そして「世界三大料理」の一つであるトルコ料理の紹介まで、短い時間ながらトルコに行きたくなる情報満載の講座でした。質疑応答では、EU加盟を目指してきたトルコがアジア、あるいは中東を重視する方向へ舵を切りつつある現状についてもお話が出ました。
ヨーロッパ(といっても私が見るのはフランスとドイツくらいですが...)の報道を見ると、日本とは違って、トルコに強い関心が払われていることがわかります。ヨーロッパについて知るとき、現地の人が何に関心を持っているのか、そしてその関心の対象についても同じように目を向ける必要があると感じます。
トルコについて知るだけでなく、トルコを通じて、ヨーロッパについて考える機会となりました。

2017年11月30日木曜日

2期 第9回ゼミ

担当教員の相澤です。今日は、通常のゼミ形態に戻って、新書報告を行いました。

最初に私が、池田嘉郎『ロシア革命』(岩波新書、2017)について報告しました。11/7でロシア革命から100周年ということで手にとった一冊。ロシア革命の流れをコンパクトにたどることができました。ゼミ生がフランス革命に関する本をはすでに報告してくれていたので、フランス革命との違いに焦点をあてて、皆で議論しました。

次に、Sさんが池内紀『ドイツ 町から町へ』(中公新書、2002)について報告しました。本書では、文学者らしい表現でドイツの72の町が紹介されているとのこと。紹介の中にドイツの生活風景が、そしてそこに垣間見えるドイツ人の気質について説明してくれました。これまで読んできたフランス関連の多くの本をふまえて、ドイツとフランスの違いについて議論しました。

最後にYさんが澤井繁男『ナポリの肖像 血と知の南イタリア』(中公新書、2001)について報告しました。本書では、南イタリアの都市ナポリの歴史と文化が説明されているとのこと。様々な戦乱や交易を通して、様々な民族が入り交じることになった土地で、人びとがナポリのアイデンティティをいかに確立したのかを説明してくれました。

新書報告後は、短いテキストを使って、文章を批判的に読む訓練を行いました。

今回は、参加者がたまたまフランス以外の国についての本を選びました。ロシア、ドイツ、イタリアとヨーロッパおよび隣接地域について知識を深めることで、フランスや日本を相対化して考察する視点を持つことを目指しています。

2017年11月24日金曜日

2期 第8回ゼミ

ゼミ生のYです。

 2期第8回ゼミを行いました。今回は芝健介著『ホロコースト ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌』(2001年、中公新書)を各々読んできて、意見交換しながらホロコーストについて考えていきました。私はユダヤ問題については世界史における悲しい一出来事ということ以外にあまり深く掘り下げたことがなく、本書を通して詳しい事実や背景をよく知る良い機会になりました。

 反ユダヤ主義から始まったホロコーストはヒトラーやナチスの思想のみによるものではなく、様々な要因も合わさったことによって状況が加速し、歯止めが効かなくなってしまった結果でした。しかし、だからといって彼らのしたことが許されるわけではありません。行きすぎた選民思想とエゴが独裁と悲劇を生み出してしまったという紛れもない事実を忘れず、人間の生き方や宗教のあり方、多様性を認める社会を考えていかなければならないのだと思いました。

 ゼミ後には、学習センターで行われていたランチタイム講座「手話セミナー」を聴講しました。講座といっても全く堅くなく、手話の文化について実演を交えながら分かりやすく楽しく知ることができました。実際に手話の話者である本学の学生の方もとても人当たりが良い感じでした。1期で手話に関してディスカッションを行いましたが、それでもまだまだ知らないこともあり、一層勉強になりました。

 私が小学校の頃、発音障害を持っていたある男の子のクラスには壁に指文字の表が必ず貼ってありました。そうすることで指文字が身近なものとして違和感なく感じられるほか、その子とも皆分け隔てなく自然に接することが出来ていました。頭が良く話も面白い彼は友達がとても多かったのをよく覚えています。こうした相互理解のための工夫がもっと広くなされることで、誰もが生きやすい社会へ一歩踏み出して行けるのではないでしょうか。

2017年11月16日木曜日

2期 第6回、7回ゼミ

担当教員の相澤です。第6回、7回ゼミでは、いつもとは趣を変えて、映画を「読み」ました。

本ゼミでは、毎回、文章を正確に読む訓練をしています。しかし、「読み」の対象は本だけではありません。映画作品が映像を通して何を表現しているのかを正確に理解するためには、映像や作品全体を「読む」訓練が必要です。そこで、今回はマルジャン・サトラピ監督の『ペルセポリス』という映画を見て、この作品が伝えようとするメッセージをみんなで読み取ることにしました。

『ペルセポリス』は、イランとヨーロッパを舞台に、マルジというイラン人女性の成長を描き出す作品です。イラン革命とイラン・イラク戦争で大きく変化する幼年時代、ヨーロッパへ留学し異文化の中で生きる思春期、そしてヨーロッパからイランに帰って大人としての一歩を踏み出すまで、と主に三つの場面から成り立っています。

ヨーロッパでもイランでも、マルジは友人に囲まれ、社会や文化に溶け込んだ生活をしているように見えます。しかし、彼女はヨーロッパにおいても祖国イランにおいても自分を「異邦人」と感じると言います。私は、この気持ちが一体どこから生じるのかをゼミ生に考えてほしいと思いました。というのも、私自身、ヨーロッパで二年暮らしながら「異邦人」であると折に触れて感じずにはいられなかったからです。「異文化共生」という言葉をしばしば耳にする昨今、それは一体どういうことなのか、あるいはどれほどの難しさを伴うことなのかを映画を通じて改めて想像してほしかったのです。

「ペルセポリス」は私の大好きな作品の一つで、公開以後(初めてフランスに留学している最中に映画館で見たのが最初)、何度も見返し、何度も涙している、言わばすでに十分に味わい尽くしている作品です。にもかかわらず、今回若い学生と一緒に感想を話し合う中で、さらに新たな気づきを得ることができました。学生も、他のゼミ生や私と語る中で気づきがあったと思います。いい映画はいい本と同様、語る価値がある!語るって面白い!ということをゼミ生が体験してくれたとしたら、授業をやった甲斐があるというものですが、どうだったでしょう?



2017年11月11日土曜日

舞台観劇 『プライムたちの夜』

 ゼミ生のRです。

  118日、ゼミ終了後に相澤先生とゼミ生二人で新国立劇場にて演劇『プライムたちの夜』を観劇しました。前回のゼミでの舞台観劇の方も新国立劇場でした。今回は以前観劇した中劇場ではなく小劇場でしたので、出演者との距離がより近いという新鮮さがありました。『プライムたちの夜』は海外戯曲です。今回が日本初演ということで観劇前から非常に楽しみでした。


 今日、世界全体でAIやロボット技術を活用しています。テレビやスマートフォンでそういった内容のニュースを日々見ているものの、いまいち自分自身にはピンとこない部分がありました。しかし本戯曲は、まさにこうした新しい技術と人間の関係をテーマとしています。人間ドラマを通して、ダイレクトに技術がもたらす不安や葛藤が伝わってきました。そして日々取り上げられている技術関連のニュースを思い出すと、本戯曲のようにアンドロイドと人間が共に生きるのは、そう遠くない未来かもしれないと感じます。そうなった時、自分は発達した技術とどのように向き合えばよいかと考えさせられました。

 シリアスな題材を活かす役者さんの演技が素晴らしく、上演後半には思わず涙しました。「老い」や「家族」もテーマでしたので、自身の家族や大切な人について考えながら観劇しました。そうすると共感出来る場面が多くありました。特に印象に残っているのはアンドロイドの「なんて素敵なの。誰かを愛せたってことは」という台詞です。技術が進むにつれて何でも可能にしてしまう人工知能にとって、唯一不可能なことがこの「愛する」という感情を持つことではないかと感じました。


 戯曲を観劇して、たとえ家族や大切な人が亡くなったとしてもアンドロイドとして再会したくはないと思いました。人生はどのような過程があろうと一度きりだからこそ尊いもので、その人の生きた価値があるのだと考えます。一方で大切な人と思う程、その人とは永遠にでも一緒に居たいという気持ちも理解出来ます。戯曲を通した個人的な学びとしては、大切な人と後悔しないような関わりを築くということです。

 舞台観劇をする度に、新しい視点や考えを得られると感じます。今回も充実した時間となりました。
 

2017年10月29日日曜日

2期 第5回ゼミ

 ゼミ生のYです。

 2期第5回ゼミを行いました。内容は今までと同様、新書紹介とJ.S.ミル『自由論』の輪読をしました。

 新書紹介では、まず相澤先生が渡辺克義著『物語 ポーランドの歴史』を紹介してくださいました。コラムのエスペラント語について、これを考案したユダヤ系ポーランド人のルドヴィコ・ザメンホフはその出自から、異文化コミュニケーションの方策として創造し共通語として広めたいと考えましたが、残念ながら話者はそこまで増えていないそうです。そこにユダヤ人迫害や差別の関わりを考えると、宗教のあり方とは何なのだろうと思ってしまいます。
 次に私が石井洋二郎著『パリ 都市の記憶を探る』を紹介しました。街そのものが骨董品のような花の都・パリですが、それら全てはただの美術品ではなく、都市と郊外の差異という社会的背景が投影された象徴空間であるとしてパリの様々な場所を探訪していくという内容でした。2月にパリで海外研修を行う予定ですが、街路全てに偉人の名前が付いているとのことで、歩くたびに通りの名前を確認したいです。それはそれで楽しそうですよね。
 最後にRさんが鹿島茂著『フランス歳時記 生活風景12か月』を紹介しました。これはフランスの月ごとの様子が書かれてある本で、そこからいくつかピックアップしてくれていました。私は中でも「劇場のない秋は、ヴァカンスのない夏のようなもの」という考え方が芸術のフランスらしく、日本にはあまりない感覚で面白かったです。

 『自由論』では第1章を少しずつ読み進めていますが、人間社会での意志とは必ずしも総意にはならず、それがまた自由に対する考え方の違いにも現れているのだろうかと思いました。まだ序盤ですが、漠然としているようで事実と深く根付いており、読み解いていくのが難しくも楽しく感じます。次回はフランス映画を鑑賞しますが、そちらも楽しみです。

2017年10月22日日曜日

2期 第4回ゼミ

 ゼミ生のRです。

  後期第4回目のゼミを行いました。今回のゼミも各々が選択したヨーロッパに関する新書の紹介、またJ.S.ミル『自由論』を輪読しました。

  新書の紹介では、初めに相澤先生が石川美子著『ロラン・バルト―言語を愛し恐れつづけた批評家』を紹介されました。この書はロラン・バルトの伝記ですが、バルトの思想についてはさわり程度であまり展開はされていないそうです。しかしバルトの思想について細かく知りたいのであれば原本等、方法はいくらでもあるので逆にそれ以外に重点が置かれている本書は読みごたえがありそうだと思いました。

  次にYさんが遅塚忠躬著『フランス革命―歴史における劇薬』を紹介しました。本書はフランス革命を劇薬と例え、それについて検証をしていく内容です。紹介を聞いていると、フランス革命について知識不足な私にも分かりやすく読み進めることが出来そうな印象を受け、読んでみたいと思いました。革命に犠牲はつきものなのか?革命は現在にどのように生かされているのか?と様々な疑問が浮かび上がってきて、それを考えるだけでも深い理解の一歩を踏み出せそうです。

  最後に私Rが増田四郎著『ヨーロッパとは何か』を紹介しました。本書は「ヨーロッパとは何か」ということを根本的な部分から探求していて、非常に読みごたえのある内容でした。私達が何気なく言う「ヨーロッパ」とは一体何であるのか、ということを、普段は見落としている視点から根本的な理解へと努めていくので、すでにある知識の補完としても役立てることが出来ます。

  そしてゼミの後半に、J.S.ミル『自由論』を輪読しました。現在は第一章を読み進めています。内容にふれる中で、私自身もう少し政治に関して関心意欲を高めなければという気持ちが芽生えてきます。次回の輪読も楽しみです。

2017年10月13日金曜日

舞台観劇 『トロイ戦争は起こらない』

 ゼミ生のYです。

 先日、ゼミ終わりに相澤先生とゼミ生二人で新国立劇場にて鈴木亮平さん主演の演劇『トロイ戦争は起こらない』を観劇してきました。私は新国立劇場には初めて行ったのですが、無駄のない洗練された外観に広々としたロビーはとても美しく、質の高い劇場であると感じられて身が引き締まるように思いました。

 『トロイ戦争は起こらない』は、ギリシャ神話においてトロイの国の王子パリスがギリシャの王女エレーヌを誘拐したことから始まるトロイ戦争を舞台に、パリスの兄である主人公エクトールがどうにか戦争を起こさせまいと奔走するフランス近代演劇の不朽の名作です。戦争を避けようとしたが故に結局戦争が起こってしまうという皮肉な話でしたが、戦争というのは双方ともに張り合えるくらいのレベルであるとき、ほんの些細なきっかけから起こるもので、戦争や平和の在り方を根本から考えさせられる戯曲でした。

作者のジャン・ジロドゥは第一次世界大戦をその身で経験しこの作品を書いたわけですが、だからこそ人々の考え方や動きがリアルで、神話という世界観ながら臨場感ある舞台に感じました。少し難しい言葉や言い回しの長台詞が多く、なかなかすぐには理解しづらい部分もありましたが、役者さん方の熱演は痛切に心に響きました。また、重いシナリオである中笑いを起こさせる場面もあり、飽きさせないような工夫がされているのだなと感心しました。特に第二幕ではとてもタイムリーなジョークなども出て、私も思わず笑ってしまいました。

 舞台セットは最初からずっと変わらず、シンプルで無機質な灰色の円形舞台で、役者さんの演技がより際立って見えました。主演を務めた鈴木亮平さんの演技はその逞しい体格も相まってとても迫力があり、熱がこもっていて圧倒されました。加えてギリシャの智将オデュッセウス役の谷田歩さんも強い気迫でくっきりとした存在感があり、終盤のエクトールとオデュッセウスの会話シーンは鮮烈に印象に残っています。

 時代背景や流れをほとんど知らない状態で観たため、後から調べてようやく腑に落ちた場面がいくつかあり、少し予習してから観ると良かったかなと今になって思います。その上でもう一度集中して観たい舞台でした。来月のゼミ終わりにはまたこちらの劇場で『プライムたちの夜』を観劇予定です。アンドロイドは愛するものの代わりになれるのか、人工知能はどこまで人間の愛に介入できるのか・・・今からとても楽しみです。

2017年10月11日水曜日

2期 第3回ゼミ

担当教員の相澤です。今日も、今週読んだ本の紹介とミル『自由論』の輪読を行いました。

前半は、Rさんが篠沢秀夫『フランス三昧』(中公新書)を、Yさんが高山一彦『ジャンヌ・ダルク 歴史を生き続ける「聖女」』(岩波新書)を、そして私が三瓶恵子『女も男も生きやすい国、スウェーデン』(岩波ジュニア新書)を紹介しました。

今日の課題は、「文章を区切って話すこと」と「質問を二つすること」でした。発表するときは普段のおしゃべりとは違って、聞きやすさを意識しなければなりません。その第一歩として、文章を区切ることを心掛けようと指導しました。

 一方、充実した発表にするためには、発表者だけでなく聞く側も協力しなければなりません。たとえば、質問をすることは「あなたの発表に興味をもった」というメッセージになり、議論を活発にします。このゼミでは、いつも他の人の発表に対する質問かコメントを一つするようにしています。しかし、コメントは時に独りよがりな感想にもなりかねません。相手の発表に対応した質問をする力をつけるため、今日はあえて質問を二つするという指導をしました。

1期での読書発表の訓練を経て、ゼミ生二人とも上手に発表できるようになりました。とはいえ、まだまだ上を目指せます。各回のゼミでやることは基本的に同じですが、少しずつレベルアップできるよう、指導を工夫していこうと思っています。


2017年10月7日土曜日

2期 第2回ゼミ

 ゼミ生のRです。

  後期第2回目のゼミを行いました。今回のゼミは各々が選択したヨーロッパに関する新書の紹介、またJ.S.ミル『自由論』の冒頭部分を音読しました。

  新書の紹介では、初めに相澤先生が黒田龍之助著『外国語を学ぶための 言語学の考え方』を紹介されました。語学は繊細なものですが、私達はそれに対して誤った認識や捉え方をしている可能性があります。そのような可能性を見直し、「今一度言語学の捉え方を考え直す機会となる本」というような印象を受けました。

  次にYさんが南川高志著『新・ローマ帝国衰亡史』を紹介しました。多民族を受け入れる寛容さを持っていたローマ人の精神が他者を受け入れないものに変質し、そのことがローマ帝国の衰亡に繋がっていったのではないかという内容でした。紹介を聞いた限りでも非常に興味深い内容でした。語られている政治史等、実際に自分で読んで学んでみたいです。

  最後に私Rが小林善彦著『パリ日本館だより フランス人とつきあう法』を紹介しました。フランス人の素顔が書かれていて、フランス文化や風習について多くの発見がありました。今後ゼミでフランスへの合宿をひかえている私達に非常に為になる内容だったのではないかと感じます。著者の経験から具体的にノウハウが語られているので、分かりやすく尚且つ面白くフランスについて学ぶことが出来ました。

  そしてゼミの最後に、J.S.ミル『自由論』の冒頭部分を音読しました。まだ本題には触れていませんが、少し内容を読んだところ自由について分かりやすく丁寧に解説されている印象を受けたので、今後読み進めていくのが楽しみです。

  後期もたくさんの本にふれていきたいと思います!

2017年9月27日水曜日

2期 第1回ゼミ

担当教員の相澤です。

夏休みが終わって、ゼミも再開です。2期は、学生二人と私の三人で、ゼミ活動を行っていきます。初日の今日は、2期のスケジュールや内容の打ち合わせを行いました。

 今期、各回のゼミ活動は二部構成で実施します。前半は、1期に引き続き、「今週の読書紹介」です。各自が一週間の間に、新書を一冊読み、その新書の内容を報告。その報告を受けて、質疑応答、ディスカッションを行います。相澤ゼミは、2月にフランスでの海外ゼミ研修を実施する予定です。そのため、研修の事前学習という意味で、「フランス、あるいはヨーロッパに関する新書」を毎週読むことにしました。

読みやすい訳本を使います。
後半は、哲学書をじっくり読み、テキストから「自由とは何か」という問いを考えます。最初に取り上げるのは、J. S. ミル『自由論』です。150年以上前に書かれた本ですが(1859年の著作)、今でも、いや今だからこそ、学ぶべき本だと考え、課題図書に選びました。ゼミ生は哲学書を読むのは初めてとのこと。細かく、きちきちと読んで、議論を正確に把握しつつ、ミルの文章を味わいたいと思っています。

小所帯ならではの、和やかな雰囲気と細かな指導が本ゼミのいいところ。2期は来年度のゼミ選びの時期でもあります。本ゼミに興味のある方は、教員にコンタクト(aizawa at tku.ac.jp)を取ってくだされば、見学も可能です。ゼミ生とともにお待ちしています。

2017年8月30日水曜日

網代でゼミ合宿

担当教員の相澤です。8/29と30の二日間、網代でゼミ合宿を実施しました。

ゼミ生のRさんとYさん2名に加えて、私が担当しているフランス語のクラスから5名がゲスト参加。私も加えて、総勢8名での合宿となりました。

初日は午後に宿に到着後、毎回のゼミと同様、新書の内容を報告する勉強会を実施しました。今回は、フランスに関連する本をゼミ生二人が報告し、フランス語クラスの学生が発表についての質問・コメントをする形式で行いました。Yさんが野崎歓『フランス文学と愛』(講談社新書)を、Rさんが岡本裕一郎『フランス現代思想史』(中公新書)について発表。フランス語の学生は、上級生も多く、鋭いコメントと質問が飛びました。いつも同じメンバーでマンネリになりかねないゼミ活動ですが、ゲストの参加はゼミ生にも私にも大変刺激になりました。


夜は、宴会場での夕食後、部屋で懇親会を行いました。学生たちは「人狼」ゲームでとても盛り上がっていましたが、初体験の私は何が面白いのかさっぱりわかりませんでした。。世代差でしょうか。。

二日目は、学生たちは海へ出かけました。 昨日の勉強会、懇親会を通して、学年やクラスを超えて仲良くなってくれたようで何よりです。ゼミ合宿は、勉強の機会ではありますが、何より学生同士が互いをよく知るためのイベントだと考えています。今回、この目的は達成できたようです。

2017年7月25日火曜日

第13回ゼミ

 ゼミ生のRです。

  前半期最後である第13回ゼミを行いました。今回のゼミは、ゼミ生が中公新書から選択した本を紹介しました。

  初めにYさんが、大城道則著『ツタンカーメン「悲劇の少年王」の知られざる実像』を紹介しました。古代エジプトの歴史や文明については全くといっていいほど知識が無かったので非常に勉強になりました。有名な王の一人「ツタンカーメン」の死の真相等は史料の限界により確実な事実としては判明していませんが、政治的陰謀の絡んだ説など証拠が見つかっていないながらも、そのような話が聞けたのはとても楽しかったです。まだまだ謎が多い「ツタンカーメン」ですが、本の紹介を聞いて以前より興味が湧きました。

  次に私Rが歌田明弘著『本の未来はどうなるか―新しい記憶技術の時代へ』を紹介しました。本書の内容は本が無くなることへの文化の衰退を嘆くものでは一切なく、現在の本という形を超えて記憶装置としての未来を見ていくといったものでした。私自身、本は紙媒体の方が読みやすいという考えを持っているのですが、本書を読んで本の読み方や形は時代によって変化していくということを学びました。紙媒体としての本を主に愛用している中、未来の本の姿をすぐに受け入れることは難しいのですが、確実に多様な視点からの刺激は受けました。

  冒頭にも書いたように、今回のゼミは前半期最後のゼミでした。自身の初めの頃の本のプレゼン等を振り返ると、以前よりも内容のまとめ方、紹介の仕方など成長出来た部分があると思います。また様々な新書を読むことにより、多様な方面からの知識を吸収することも出来ました。前半期のゼミでの経験、そして反省を生かし今後も頑張っていきたいです!

2017年7月11日火曜日

第11回ゼミ



 ゼミ生のYです。

 今回はDさんがお休みだったので、相澤先生とゼミ生二人でゼミを行いました。

 さて、今回のゼミでは前半は前回課題として出された岩波ジュニア新書から各々選んだ本の紹介を、後半は大学の異文化交流の学習スペースであるコトパティオにて英語を使った遊びを体験しました。
明るくて楽しげな雰囲気が教室の外からでも伝わってきます

 まずは本の紹介から。
 始めに相澤先生が、大野竜三著『タバコとわたしたち』を紹介して下さいました。この大野氏はがんの専門医をされている方で、タバコの健康への害とそれを容認してしまうかのような社会についての問題提起がなされていました。タバコは百害あって一利なしという諺が古くからあるにもかかわらず、たばこ税等の存在の大きさによってタバコが必要悪となってしまっており、喫煙者にも政府にも依存性のある物質のように感じました。切り離して考えるには時間がかかりそうです。

 次に、Rさんが関文威・小池勲夫編『海に何が起こっているか』を紹介しました。現時点での人々の海への理解が浅く、海洋環境の変化による生物の繁栄への影響や温暖化の影響による海面の上昇などの近年海で起こっている現実を受け入れ、もっと理解を深めようという内容でした。海洋環境の変化の原因に大きな割合を占めているのが生活排水だということで、自分では無意識のうちにしてしまっている無駄や怠りに気づかされたような気がします。身の回りの小さなことから気をつけていけるといいのではないでしょうか。

 最後に私が岩田康夫著『ヨーロッパ思想入門』を紹介しました。ヨーロッパ思想ではギリシャ思想やキリスト教の宗教的思想などが混ざって、ヨーロッパ哲学が成り立っています。ヨーロッパ哲学において神は切っても切り離せない存在であり、捉え方は違えど思想の根底にあるもので、これを完全に論理的に理解することはありえません。自分で選んだものの内容はとても難しく、これを書いている今でもきちんと理解できているか怪しいのですが、その思想を持つ人々には彼らの世界があり、そこに何の思惟もなく干渉することは良いことではないのでしょう。その点では、以前読んだ『手話の世界を訪ねよう』と通ずるものがあると感じました。

先生もとても親しみやすい気さくな方でした
 そして後半のコトパティオでは、外国人の先生と私たちでいくつかゲームをしました。

 まずは紙に自分のことについて3つ、そのうち1つは嘘で文を書き、それぞれ質問をしながら嘘の文を当てるというものでした。(私はうっかり嘘を2つ入れてしまったので正解当てゲームになってしまいました(笑))英語が苦手な私には質問をどう表現したら良いか分からず先生に助けてもらった部分もありましたが、核心に迫る質問をしてみるなどとても面白かったです。

 それからカードの束と砂時計のような道具を使い、5秒のうちにカードのお題を英語で答えるといったゲームを行いました。中でも特定の色の入った国旗を3つ挙げるというお題は元々の知識が必要なのでなかなか難しく、さらに英語に変換するため5秒はあっという間に過ぎてしまいました。こちらもとても面白くて楽しかったです。

 コトパティオには私たちの他にも学生や留学生が数人来ていました。この空間にいる人みんなが楽しそうにしていて、明るく楽しい異文化交流ができる場所でした。機会があればまた行ってみたいです。その時にはもう少し英語力もつけたいと思います(笑)

2017年6月28日水曜日

第9回、第10回ゼミ

担当教員の相澤です。休講を挟んで、少し更新の間があいてしまいました。第9回、第10回ゼミの活動を報告します。二回の授業では「映画を読む」をテーマに、「ズートピア ZOOTOPIA」という作品をみんなで読み解きました。

まず第9回授業で「ズートピア」をみんなで鑑賞しました。昨年公開されたばかりのディズニー映画なので、ご覧になった方も多いかもしれません。ズートピアは、「肉食動物と草食動物が平和に暮らし、皆が夢を追うことができる街」です。そんなユートピアのような街に事件が起きて、主人公のうさぎ警官ジュディが事件を追ううちに…ネタバレしては面白くないので、ここでやめておきます。

この作品は動物たちを主人公にした子ども向けの映画のように一見見えますが、現代社会を批判する強いメッセージが込められています。私は、そのメッセージとは何か、どこからそれが読み取れるのかを次回発表することを課題として、鑑賞するように指示しました。学生は、物語と映像を楽しみつつ、こまめにメモを取りながら鑑賞しました。

さて、続く第10回の授業では、どんなストーリだったかをみんなで確認した後、ゼミ生各自が読み取ったメッセージとその根拠を発表しあいました。みんなで読み取ったのは次の二つのメッセージです。まず第一のメッセージは、肉食動物と草食動物の対立は私たちが生きる現実の社会の差別のメタファーであり、それを批判しているというものです。私が「ズートピア」を公開時に見たときに理解したメッセージも、これでした。

もう一つ学生たちが指摘してくれたのは、正義感に溢れた主人公ジュディが、実は自分の中の偏見や狭いものの見方、閉じた価値観に囚われていることに気づき、そこから一歩踏み出す成長物語として作品を捉える解釈です。すなわち、観客に対して、自らを振り返り、気づかないうちに自分と違うものに閉じてしまっていないかと問いかけるメッセージが読み取れるというわけです。

実は私は、この二つ目のメッセージを読み取るにいたっておらず、学生たちの指摘を聞いて、なるほど!とすごく納得したのでした。授業を通して、私自身が学生に教えられるとともに、もう一度「ズートピア」をじっくり見直したくなりました。

 いつもは本を読んで議論をする相澤ゼミですが、映画も本と同じように様々な理解、解釈が可能です。映画を見るのは楽しい、そしてあーだこーだ議論するのもすごく楽しい、そして議論を通して新たな発見が得られる。これが今回の授業を通しての、私から学生へのメッセージです。伝わったかな?

2017年6月12日月曜日

2017年度 第8回

 ゼミ生のRです。

  8回ゼミを行いました。今回のゼミは、大野更紗著『困ってるひと』を全員で読み、各々が印象に残った内容を挙げディスカッションを行いました。


  主なテーマとして挙がったのは以下の2つです。
・現代医療に感じる不条理への解決策や理由
・困ってるひとの存在を知った上で、助ける人と助けない人の違いとは何か
その他にも、本書内の人物の行動について意見を述べたり、人物間の関係性について深く考察をしました。



  私はディスカッションの中でも、上記の主なテーマ二つ目に挙げた「困ってるひとの存在を知った上で、助ける人と助けない人の違いとは何か」についてが、非常に印象に残りました。生きている一人一人に個々の生活がある以上経験や環境はもちろん異なってきますから、これだ!という答えはきっと無いのだと思います。ですが、それをふまえた上でもこのディスカッションは大変有意義なものでした。自分が、何か困ってるひとを助けようと思う時はどういう感情が働いているのか等、行動を見つめなおす機会になりました。それと同時に、本書内で出てくる難民のように、自分とはどこか離れていると感じてしまいがちな人達をどうして私達は助けることをせず、ただ報道等で状況のみを知っているというかたちにとどまってしまうのか。その答えも完全なものではありませんが、以前よりも自分の考えというものはまとまってきたように感じます。

  『困ってるひと』は非常に読みやすく、学ぶことや考えさせられることが多い本でした。今回のディスカッションをここだけのものにせず、自分の考えを構築する一つとして、残していきたいと思います。

2017年6月6日火曜日

六本木で課外活動!

  こんにちは(こんばんは?)、ゼミ生のDです!

  今回は先生含め、ゼミ生のみんなで六本木の「森美術館」へ行きました。

  普通にゼミ活動をして、僕が3限があったために集合時間が15時になってしまいました…

  さて、今回は2つの展示を見に行きました。1つは、「大エルミタージュ美術館展」へ行きました。

エルミタージュ美術館とは、1764年にエカテリーナ2世(在位1762-1796)が取得し、美術館の基礎となったコレクションから、歴代皇帝が国家の威信をかけて収集した美術品、個人蒐集家のコレクションまで、エルミタージュ美術館の所蔵品はおよそ310万点。そのうち絵画作品だけでも1万7千点に及びます。(http://hermitage2017.jp/highlight.htmlより)
作品を鑑賞するゼミ生。
(撮影許可されている作品です。)
  今まで僕は、美術を愉しむということができなかったのですが、事前に読んだ「西洋美術史入門(池上英洋)」のおかげで絵画にはキチンと込められた意味・作られた意味があるとしれたので、1つ1つの絵画をじっくりと愉しんで見ることができました。(ただ、長いこと立っていたので少し脚が疲れてしまいました…)

  2つ目は、「N.S.ハルシャ展 〜チャーミングな旅〜」です。
N・S・ハルシャは1969年、南インドの古都マイスールに生まれ、現在も同地に在住し活動しています。インドの現代アートは近年の急速な経済成長や都市化とともに、国際的な注目を浴びていますが、N・S・ハルシャもこの10年間、世界各地で開催される国際展に数多く参加し、作品を発表しています。その一方で、南インドの伝統文化や自然環境、日々の生活における人間と動植物との関係など、自らを取り巻く「生」と真摯に向き合いながら、独自の立ち位置を確立してきた作家でもあります。(http://www.mori.art.museum/contents/n_s_harsha/index.htmlより)
   さっきの、「大エルミタージュ美術館展」とは違い、展示されてるもの全て撮影をしても良いところや全体的に明るい雰囲気でリラックスしながら作品をみることができました。その独特な世界観はとても目を惹くようなものばかり気づけばその世界にのみこまれていました。

 最後になりますが、こういった課外活動はとても刺激になるのだととても思いました。

2017年6月5日月曜日

2017年度 第7回


ゼミ生のYです。

 今回は、課外活動で森美術館にて大エルミタージュ展を鑑賞するにあたって前回各々が選んだ西洋美術に関する本を発表しました。

 まず最初にDさんが池上英洋著『西洋美術史入門』を発表しました。美術史とは何か、どのような背景で描かれたのかなどを、芸術作品は人類の歴史の大部分を占める「メディア」として読み解き解説していくという内容でした。芸術家は創作活動をするためにパトロン(支援者)の注文によって描くものが制限されてしまうということで、芸術作品という分野でも需給にあったものを作らないと食べていけない、想像しているよりシビアな世界なのだと感じました。

 次に私Yが岡田温司著『処女懐胎 描かれた「奇跡」と「聖家族」』を発表しました。聖母マリアはどのようにしてイエスを身ごもったのか、「無原罪」という「無いもの」を描く難しさ、マリアの母アンナの辿った運命などを様々な学問の視点から考察していきました。受胎はなんと耳から聖霊が入ったからとされているなど、当時信じられていた話を絵画と絡めて紹介されていてとても興味深かったです。

 そしてRさんが西岡文彦著『ピカソは本当に偉いのか?』を発表し、「ピカソの絵は美しくない」という著者による導入からピカソの芸術的才能や経済的才能について紹介しました。芸術家でありながら美術市場の可能性を正確に見抜いて分析し、売り込んでいくような打算的な性格を持っていたところに経営学部生の私としては興味をひかれる部分があり、面白かったです。

 最後に相澤先生が山我哲雄著『キリスト教入門』を紹介されました。人間的な人生を歩んできたイエスがどのようにして神の子として人々に受け入れられるようになったのかや、ローマ・カトリック教会においてプロテスタントはどう生まれたかなど、キリスト教の始祖について解説する内容でした。存在そのものが神と一致しているとされるマリアに神の創造し存在であるイエス。人間の形をしていながら神性を持った彼らの存在が、より人々に近く感じられたことで多くの信仰を集めることになったのだろうと考えました。

 今回の発表を踏まえて美術館見学に行ったことで西洋絵画の鑑賞がいっそう面白く感じられました。美術館見学の詳細のレポートはDさんがアップされます。インドの作家の展示もとても独創的で面白かったです。普段は美術館へはあまり行く機会がなかったので新鮮な気持ちで過ごせました。もっとさまざまな芸術に触れてみたいですね。

2017年5月24日水曜日

2017年度 第6回


 ゼミ生のRです。


  6回ゼミを行いました。今回のゼミは、前回に引き続き亀井伸孝著『手話の世界を訪ねよう』の第5章と第6章を読み、最後のまとめをし、その次にゼミ生と担当教員である相澤先生が新書のプレゼンをしました。

  『手話の世界を訪ねよう』の5章はDさんが担当しました。手話を世界という広い視点で見て、多様性があることを理解しそれらを尊重していく姿勢の大切さを学びました。

 6章は全員で読み進め、聴者である著者とろう者である著者の奥様との夫婦ゲンカ等の例から、音声言語と手話の共存の為のヒントを知り、ろう者と会う時の四つのマナーを学びました。

  最後までこの本を読み、私は著者が伝えたいことは、「もっとろう者の世界を知る姿勢をとろう。」と、「知ろうとするのであればろう者の歴史や文化を正しく知ろう。」ということではないかと考えています。

  新書のプレゼンでは、私Rが橋本治著『「わからない」という方法』を紹介しました。性急に「わかる」ということばかりを求めていても本当の意味で「わかった」には到達しないという考えに触れ、様々な「わからない」を理解する為の一つの方法の可能性を知りました。

  相澤先生は、岡田温司著『天使とは何か、キューピッド、キリスト、悪魔』を紹介されました。「天使」と聞くと漠然なイメージは浮かびますが、その実態については良く知りません。その実態が知れるのがこの本の内容なのだと感じました。内容には図版も多数収録されており、美術の魅力を楽しく知ることが出来るとのことでした。

  来週のゼミでは、課外活動で美術に触れる予定なので楽しみです!