2014年9月22日月曜日

ゼミ合宿記3 Iターン 佐々木さんのお話

 待ち合わせは海辺。そこに自家製はちみつとハーブティーをもって現れた女性が今回お話しをうかがった佐々木さん。自然体という言葉がぴったりな女性だと思った。海のそよ風を感じながら、ハーブティーをいただいた。それだけでも癒されたが、それ以上に佐々木さんのお話で和んだ。

 福島県から移住なさった佐々木さん。大崎上島という地を選んだきっかけはWWOOF (ウーフ) である。WWOOFとは、「力」と「食、住」を交換する、お金ではない価値交換のことである。一宿一飯の恩義のような関係性。主に農家の、ホストとよばれる食事と宿泊先を提供する受け入れ先に、農業を学びたい、手伝いたいと思っている、力を提供するウーファーと呼ばれる人々をつなぐシステム。佐々木さんはこのWWOOF体験をしに大崎上島を訪れた。

 東北芸工大学を卒業後、山形のラタン工房で働いていたが、東日本大震災をきっかけに地元の福島県に戻った。すると、佐々木さんは福島で暮らす人々に緊張感を感じたという。放射能の問題、原発の話をしずらい雰囲気。周囲の人々が、目に見えない放射能よりも地元を離れることや新しい環境への不安ゆえに移住を選択しないなか、佐々木さんは地元を離れる決心をした。まずは北海道の牧場農家へホームステイに訪れた。すると佐々木さんの目には、人々が自由に見えたという。そして、佐々木さん自身にも気づきがあった。自然な呼吸ができること。福島では無意識に呼吸が浅くなっていたそうだ。そのあと、大崎上島にWWOOF体験に訪れると、すぐに空き家が見つかり、移住することになったという。

ゼミ生からの「北海道よりも条件が良かったから大崎上島を選んだのですか?」という質問に対して「条件だけで選べないことはたさんある」とおっしゃった佐々木さん。人生は運やタイミング、人とのつながりなど、確かに条件だけで選べないことがたくさんある。そんな中でも外せない条件としてよくあがるのはお金であろう。しかし、佐々木さんのお話をうかがっていると、ハッとさせられた。佐々木さんの島の友人で月に3万円あればで暮らせるという方がいらっしゃるそうだ。

このお話をされてる時の佐々木さんの一言で自分の価値観を少し考え直した。それは「ほんとうに必要なモノって実はそんなにないんだよね」という言葉。私は生きてきた20年間、欲しいものはいろいろあった。おもちゃやゲームがいつのまにか洋服やバッグに代わり、いずれは車やマイホームに代わるのであろうか?すべてが手に入ったわけではなかったけど、自分の欲が満たされる程度には手に入った。そんな私にとって、この言葉はとても新鮮だった。

 佐々木さんのお話は自分を見つめなおすいい機会となった。
                                                                                                                   (川上)
*川上さんの民泊体験記事はこちら