2014年10月7日火曜日

「三文オペラ」観劇記

9月26日にゼミ生3名と、新国立劇場に演劇「三文オペラ」を見に行きました。参加した高橋さんによる観劇記です。

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大階段を上って劇場へ。
「三文オペラ」の中で僕の印象に残った場面が終盤に二つありました。

一つ目は、メッキースと昔恋人だった娼婦ジェニーが「ソロモン・ソング」を歌う場面です。絞首刑にされるメッキースと重ね合わせるように、ソロモンやクレオパトラ、シーザーなどの過去の英雄の悲劇的な末路をあげていきます。このジェニーこそがメッキースを裏切り、警察に売り渡した張本人なのですが、どこか悲しげなのが気になりました。僕はこの場面を見て、ジェニーは、ただ生活の為にかつての恋人メッキースを売ったのだと思っていました。しかし、「逞しく生きる娼婦」としてジェニーを見ていた自分とは異なり、相澤先生や他のゼミ生は「メッキースのことを好きだからこそジェニーは裏切ったのではないか?」など「メッキースの元恋人」としてジェニーを見ていました。自分とは違う劇の受け取り方や考察が聞けて面白かったです。

二つ目は、最後の場面です。メッキースが絞首台に上り悲劇的な結末を迎えようとする瞬間、これまで度々「客いじり」をしていた乞食の頭・ピーチャムが今度は観客に向かって「せめてオペラのなかくらいでは、法ではなく恩情が通ることをお目にかけましょう」と驚きの台詞を言い放ちます。そしてご都合主義で、ハッピーエンドの、別の結末が始まります。この物語には二つの結末があったのです。あえて二通りの結末を用意したのはどういった意図があるのか、とても気になる終わり方でした。観劇後には、最初の結末によって悲しく感じるわけでもなく、二つ目の大団円では「よかったよかった」ともならない、何か不思議な感覚に襲われました。

今回人生二度目の観劇だったのですが、同じタイトルでも演出家などによって大きく見せ方が変わるようなので、別の機会に今回とはまた違った「三文オペラ」を観に行きたいと思いました。
(高橋)

2014年9月30日火曜日

ゼミ合宿記6 パン作りに挑む(ふれあい工房)

こんにちは。ゼミ生の秋葉です。ゼミ合宿3日目の【ふれあい工房】での体験について報告したいと思います。ふれあい工房は、心身障がい者の方が働く場がある福祉施設です。

ふれあい工房では、ブルーベリー狩りとパン作りを行いました。ブルーベリー狩りでは、他のゼミ生が遠慮がちにブルーベリーをもぎ取る中、私は「持って帰れるだけ、もぎ取ってやる!」という思いのもと、2パック持ち帰りました。(ちなみに、一番もいだのは相澤先生でした……。)

パン作りでは、いくつかの種類がある餡から2つ選び、各自2つずつパンを作りました。(私は、カレーパンとキャラメルクリームパンを作りました!)施設でパン職人として働くスタッフさんから、パン生地の伸ばし方や、餡の包み方を指導していただきました。

職人さんは、ぱっと生地を伸ばし、餡をつつむという早業。一方、ゼミ生は「包むのが難しいね……。」と苦戦しつつも、仕上げ(見た目)にはこだわりを持っているようで、それぞれが形を工夫していました。

パンが焼きあがるまで時間があったので、神峯山に行きました(ゼミ合宿記5 三日目の神峯山)。神峯山から戻って、焼き立てほやほやのパンを頂きました。パンがふわふわで美味しい!!

ふれあい工房を訪れる前、「島で障がい者の方が働くのは、なかなか難しいのでは?」と考えていました。ふれあい工房では、障がいの程度によって仕事内容は違うそうですが、それぞれができる範囲で働いています。考えてみれば、人間誰しも「できること、できないこと」はあります。できることを見つけ、それを生かせる環境があるということが大切なのかなと思いました。

ふれあい工房が運営するパン屋さん「HOGARAKA」にも立ち寄り、ゼミ合宿の帰路で食べるパンを買いました。これまた美味しくいただきました。

「カレーの他に具材を入れるぜ!」、「上に何かのせちゃおーう。」とマイペースにパン作りに挑むゼミ生を暖かく見守ってくださったスタッフの皆様、ありがとうございました。
(秋葉)

2014年9月22日月曜日

ゼミ合宿記5 三日目の神峯山

倫理学ゼミ、三年の松山です。今回の記事では、夏の広島県大崎上島へのゼミ合宿で行った、神峯山について書きたいと思います。

郷野くんが書いているとおり、合宿初日に神峰山へ行ったのですが、天候に恵まれず、景色がきれいに見えない状態でした。そこで、最終日、ふれあい工房\でパンを作り、焼きあがるまでの待ち時間で工房の職員の方に再度連れて行ってもらうことに!幸い、その日は景色がよく見えました。波はなく穏やかで、島々がよく見え、ゆっくりとした時間を過ごすことができました。

帰り際には、忙しい中で、わざわざ顔を出していただいたふれあい工房の中尾さんから、地元の果物を使ったジュースの差し入れをいただき、みんな大喜びでした。中でも、僕個人として、一番心に残っているのは、山からふれあい工房へ戻る際に平本さんという方との会話でした。

平本さんいわく、「仕事が順調な人の共通点は、趣味をもっている」ということでした。自分の周りの人のことを考えても、確かに平本さんのおっしゃる通り、一生懸命仕事をしてる人や出世している人は趣味をもっていました。やっぱり、どこかで息抜きをできる部分が必要なんだなと感じました。ちなみに平本さんの趣味は、自分で買った船で、週末に家族で釣りに行くことだそうです。自分の住んでる関東圏では、港に船を預けたりなどの管理費が高く、お金に相当な余裕がないと自分の船は持てないので、そういう意味で、自分の船で遊べるのは、島ならではなんだと思います。とってもうらやましいです。

わざわざ、僕たちのために、車を運転し、山へ連れて行ってくれたふれあい工房の方々にこの場を借りて改めてお礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
(松山)
*松山さんの民泊体験記

ゼミ合宿記4 中原農園にて

ゼミ生の高橋です!

今回、大崎上島での二泊三日のゼミ合宿で様々な体験をしてきました。僕はその中でも印象に残った中原バリアフリー農園を営む中原さんのお話と、その後に案内してもらった農園について記事を書きたいと思います。

合宿二日目に僕たちはUターンした取釜さん、Iターン移住した佐々木さん、バリアフリー農園を営む中原さんの三名からお話を聞かせていただきました。
この日、僕たちが最後に訪問したのが、中原さんの営む農園でした。農園では大崎上島を代表するフルーツのミカン、レモン、ネーブル、デコポンやオリーブなど柑橘類を主に、様々な果物を栽培しています。僕も神峰山の山頂へ続く道のそばでよく蜜柑畑を見かけたのですが、島にある他の多くの柑橘類は斜面で作られています。しかし、中原さんの農園は平らで広く、子供からお年寄りまで、車いすの方も蜜柑狩りを楽しめる「バリアフリー農園」です。ある時、中原さんは農業と漁業が協働するFF会で「ユニバーサルデザイン」という言葉に出会い、バリアフリー農園の経営を決意、そして即行動に移したそうです。

更にこの中原農園は農薬と化学肥料を使わない有機農園でもあります。「暑い日には身体を冷ますために農薬を浴びていた」と衝撃的なことを語った中原さんですが、ある日にこのままでは農薬で身体がもたないと思ったことを機に有機農業をはじめたそうです。この有機農業では一日目に見学した岡本醤油で醤油をしぼった後の残りかすや、きのこの栽培で使い終わった菌床をなどを使ったぼかし肥料を活用しているそうです。最後に農園を軽トラックの荷台に乗せてもらって案内していただいた時に蜜柑の木の間に大きなきのこも生えていました。

僕が中原さんとのお話の中で一番印象に残ったことは、確か相澤先生からの質問で「何のために有機農園をしているのか」という質問をされた時に中原さんはお金ではなく、まず「おいしさのため」と答えたことでした。僕はこの質問の直前に「有機栽培とふつうに育てた蜜柑ではどれくらい値段に差があるのか」という質問をしていました。「おいしさのため」という答えを聞いたら、お金のことばかり考えてしまっていることを少し反省しました。ちなみに有機栽培だと2.5倍くらい値段が違うそうです。


お話を聞いていると、中原さんは「いいな」と思ったらすぐ実行してしまう、そんな行動力の溢れる人でした。お話を伺ったこともそうですが、農園をトラックの荷台に乗って回った事も中々出来ない経験で楽しかったです!ありがとうございました!
(高橋)


*高橋さんの民泊体験記はこちら

ゼミ合宿記3 Iターン 佐々木さんのお話

 待ち合わせは海辺。そこに自家製はちみつとハーブティーをもって現れた女性が今回お話しをうかがった佐々木さん。自然体という言葉がぴったりな女性だと思った。海のそよ風を感じながら、ハーブティーをいただいた。それだけでも癒されたが、それ以上に佐々木さんのお話で和んだ。

 福島県から移住なさった佐々木さん。大崎上島という地を選んだきっかけはWWOOF (ウーフ) である。WWOOFとは、「力」と「食、住」を交換する、お金ではない価値交換のことである。一宿一飯の恩義のような関係性。主に農家の、ホストとよばれる食事と宿泊先を提供する受け入れ先に、農業を学びたい、手伝いたいと思っている、力を提供するウーファーと呼ばれる人々をつなぐシステム。佐々木さんはこのWWOOF体験をしに大崎上島を訪れた。

 東北芸工大学を卒業後、山形のラタン工房で働いていたが、東日本大震災をきっかけに地元の福島県に戻った。すると、佐々木さんは福島で暮らす人々に緊張感を感じたという。放射能の問題、原発の話をしずらい雰囲気。周囲の人々が、目に見えない放射能よりも地元を離れることや新しい環境への不安ゆえに移住を選択しないなか、佐々木さんは地元を離れる決心をした。まずは北海道の牧場農家へホームステイに訪れた。すると佐々木さんの目には、人々が自由に見えたという。そして、佐々木さん自身にも気づきがあった。自然な呼吸ができること。福島では無意識に呼吸が浅くなっていたそうだ。そのあと、大崎上島にWWOOF体験に訪れると、すぐに空き家が見つかり、移住することになったという。

ゼミ生からの「北海道よりも条件が良かったから大崎上島を選んだのですか?」という質問に対して「条件だけで選べないことはたさんある」とおっしゃった佐々木さん。人生は運やタイミング、人とのつながりなど、確かに条件だけで選べないことがたくさんある。そんな中でも外せない条件としてよくあがるのはお金であろう。しかし、佐々木さんのお話をうかがっていると、ハッとさせられた。佐々木さんの島の友人で月に3万円あればで暮らせるという方がいらっしゃるそうだ。

このお話をされてる時の佐々木さんの一言で自分の価値観を少し考え直した。それは「ほんとうに必要なモノって実はそんなにないんだよね」という言葉。私は生きてきた20年間、欲しいものはいろいろあった。おもちゃやゲームがいつのまにか洋服やバッグに代わり、いずれは車やマイホームに代わるのであろうか?すべてが手に入ったわけではなかったけど、自分の欲が満たされる程度には手に入った。そんな私にとって、この言葉はとても新鮮だった。

 佐々木さんのお話は自分を見つめなおすいい機会となった。
                                                                                                                   (川上)
*川上さんの民泊体験記事はこちら

ゼミ合宿記2 スーパー塾講師に会う!の巻


大崎上島町企画振興課が発行している「大崎上島のカッコいい過ごし方図鑑」に、今回お話を伺う取釜さんは載っている。この冊子は、島の魅力を知るために全国から集まったワークショップ参加者が書いたものだ。お話を聞く前に冊子を読んだのだが、そこには取釜さんについて「スーパー塾講師」、「スーパートリカマン!」と書かれていて、お会いするのがとても楽しみだった。

町役場の会議室で。
取釜さんは、島を出て戻ってきた「Uターン」組だ。島の子供たちへの教育に情熱を注ぎ、学習の支援だけでなく、生徒の「やってみたい。」という気持ちを応援している。「○○がやりたい!」と生徒が提案したとき、まず取釜さんは「企画書」の提出を求めるそうだ。企画書の作成について驚いたが、もっと驚いたのは生徒と講師の距離の近さと塾生同士の仲の良さだった。私も塾に通っていたのだが、そもそも「○○がやってみたい!」と講師に提案することもなく、他の塾生ともそれほど親しくなかったので提案しようとも思わなかった。

 今回お話を聞いて考えたことは「自分のやりたいことは、ほとんど実行できる」ということだ。取釜さんの「ヒッチハイクなど今すぐに挑戦できるのに、なぜやらないのか」という言葉が自分の中に響いた。私は、やりたいと思っていてもなかなか一歩が踏み出せず、「これは本当にやりたいことなのだろうか」と考えてしまい、ぐずぐずと実行できずに終わってしまう。

 お話を聞いてから数日後、次の長期休み(春季)を使ってやりたいことを考えた。その名も「ぶらり、鉄道の旅~待っててね、京都編~」。時間がたっぷりとある学生のうちに、ゆっくりとした旅をしたいと思う。
(秋葉)
*秋葉さんの民泊体験記はこちら

ゼミ合宿記1 岡本醤油醸造所と神峰山

ゼミ生の郷野です。
前回に引き続き大崎上島町のゼミ合宿についてです。今回は合宿初日に訪れた岡本醤油醸造所神峰山について書こうと思います。


木桶の中で醗酵が進行
 昼食をとり町役場の方の運転する車に揺られて数分、海沿いに佇む岡本醤油醸造所に到着です。オーナーの岡本義弘さんが、最初に醤油の原材料の塩・小麦・大豆について、そして醤油が出来るまでの1年の製造過程を熱心にお話してくださいました。瀬戸内の自然環境が醤油造りに適していたこと、1年かけて自然の力でゆっくり醗酵させる天然醸造など、楽しく聴かせてもらい、勉強になりました。

大豆を蒸す釜、昔からの木桶、搾りたての醤油の味・・・醤油工場見学が初めての自分には知らない事だらけで驚きの連続です。

醤油を絞った後のカスが置いてあったのですが、3日目に見学した中原観光農園でそれを使った肥料を目撃。「ムダなものはない」とおっしゃっていた岡本さん。昔からの自然な形で島のモノが活かされ循環していくことに感銘を受けました。


家族経営で仕込から梱包・配達まですべて一貫して行っていること、自分の目の見える範囲で製造を行うことに強い情熱、職人のこだわり、また、醤油に対する愛の様なものが岡本さんから見受けられました



曇天の神峰山展望
話換わって、夕方には、町役場の方に神峰山(かんのみねやま)乗せていってもらいました初日はあいにくの曇天ではあったのですが、それでも目下に大崎上島の町並みが広がっていました。115の島々を見渡すことが出来るのは日本で唯一だそう。風が心地よく、時間がゆっくり流れているように感じます。

お忙しい中お話してくださった岡本義弘さん、車を運転や案内をしてくださった町役場の方、本当にありがとうございました!
(郷野)
*郷野さんの民泊体験記事はこちら

2014年9月21日日曜日

ゼミ合宿記 

教員の相澤です。

二泊三日の合宿で何をやったかは、私が全学共通教育センターのブログに執筆しました(初日 / 二日目 / 三日目)。以下数回に分けて、合宿で印象に残った体験を各自選んで、ゼミ生が記事を書きます。誰がどの体験を選んだかは以下の通りです。

 〈1日目〉
1. 岡本醤油醸造場見学と神峰山:郷野さん

 〈2日目〉
2. Uターンした取釜さんのお話:秋葉さん
3. Iターンした佐々木さんのお話:川上さん
4. 中原バリアフリー農園を営む中原さんのお話:高橋さん

 〈3日目〉
5. 再び神峰山へ:松山さん

2014年9月15日月曜日

大崎上島でのゼミ合宿〜民泊体験5


ゼミ生の高橋です。

9月4日から二泊三日のゼミ合宿に行ってきました。合宿先は広島県の大崎上島という瀬戸内海で行政上最大の離島で、とても景色の綺麗な場所です。ちなみに、大崎上島のすぐ隣には呉市の大崎下島という島があります。

今回のゼミ合宿では、ゼミ生は男女で分かれた二組でそれぞれ別の家庭に民泊でお世話になりました。僕たち男子三人がお世話になった小笠原さん夫婦のお宅は築150年以上もある立派なお宅で、すぐ正面に海がありました。

初日の夕方にお母さんの運転で家に着くと、早速畑で採れたプラムのシャーベットをご馳走になりました。冷たくて甘酸っぱくて、ぜひまた食べたい味でした。

夕食には新鮮な鯛を使ったお刺身、から揚げ、塩焼きや海老のかき揚げ、畑で採れた野菜を使った緑色の豆腐など、新鮮な料理をご馳走していただきました。あまりに沢山だったのでこのときは食べきれず、翌日の朝食にも鯛をお腹いっぱい食べました。

前日からワクワクしてあまり眠れていなかった為か初日の夜は夕食を食べた後、僕はすぐ寝てしまいました。実はこのとき人生で初めて蚊帳を吊って寝る体験もしました。今思うともっと島のことについてなど、ご夫婦にお話をうかがっておけば良かったと少し後悔しています。

翌朝、敷地内にある畑を案内してもらいました。この島名産のミカンをはじめに梨、いちじくや聞き慣れないポーポーという果物など多種多様な作物が育てられていました。ちょうど熟したいちじくとポーポーがあったので採ってもらい食べさせていただきました。ポーポーはもちろんですが、いちじくも食べるのはこれが初めての経験でした。

二日目の夕方には五右衛門風呂を沸かす体験を三人でしました。どうしても体験してみたかったので、わざわざお父さんには沸かすのを待っていてもらいました。僕の先に挑戦した郷野君は火をつけるのに中々苦労していたようでした。

二日目の夕方は夕食にちらし寿司と近所の方の釣ったメバルのから揚げなど、これまたご馳走で三人ともお腹いっぱい食べました。夕食の後は家の近所を散歩してみたり、大正時代にお宅で撮った写真を見せてもらい、その当時小笠原さんでやっていた造船業や郵便業、今も続いているミカン農業のお話も伺えました。

この民泊での二泊はあっという間に過ぎてしまいましたがとても楽しい時間を過ごすことができました!最初は緊張していた僕たちでしたが、ご夫婦の優しさ、温かさに触れられてとてもいい経験になりました。旅館ではなく民泊で本当によかったと思いました。
(高橋)

2014年9月14日日曜日

大崎上島でのゼミ合宿〜民泊体験4

ゼミ生の川上です。

初めてのゼミ合宿。どんな感じなんだろ~?と楽しみにしていると、先生が「今回は民泊です。」と。「民泊」と聞くとテレビ番組「田舎に泊まろう」しか思い浮かばなかった。二泊三日、いったいどうなるんだ!!人見知りの私に民泊、かなり厳しい。最初はそう思っていましたが、その心配は杞憂にすぎませんでした。

 ゼミ生は男女に別れて広島県の離島、大崎上島にあるお宅に民泊させてもらいました。女子2人がお世話になったのはいちご農家のご夫婦のお宅。お子さんたちは島外で暮らしているので現在は夫婦2人暮らしです。「孫は年に1回しか帰ってこんが、民泊があるけんにぎやかだわ。」と、私たちで民泊受け入れ11組目となるベテランご夫婦でした。

 入島式が終わった後、元バスの運転手のお父さんの運転で島をぐるっと回ってお宅まで。途中寄ってもらった造船所では、未完成の船を見るのは初めてだったし、近くで見るとものすごい迫力でした。

 お宅に着くと、お手製のウェルカムボードが!!(これほどの歓迎ムードにも関わらず、人見知りの私はまだ緊張していた・・・)荷物を下ろすと待っていたのは、イチジク大福づくり。「この時期いちごがないけん、やらんつもりじゃったけど、今朝だれかがイチジクくれたけん。○○さんかな~?」と、さっそく田舎あるある(誰かわからないけど、野菜や果物を玄関とかに置いといてお裾分けしてくれる)にでくわし、イチジク大福を作れることに!初イチジク大福だったのですが、スイーツ好きの私にはたまらなくおいしかったです。


そのあとは夕食のお手伝いをして、いざご飯!事前に書いた自己紹介シートの「民泊で楽しみなことは?」という質問に対し、「ご飯が楽しみです」と書いた私。期待以上のご飯がまっていました!!天ぷら、お刺身、焼き肉、手巻きずし、たけのこご飯、なすの煮びたし、お魚と野菜のあんかけ、レモンコロッケ・・・今思い返しても、どれもおいしかったな~。机いっぱいにおかずを用意してくれて、ほんとにどれもおいしくて。ついつい食べすぎちゃって、お母さんに「妊娠何カ月?」と言われるほどお腹がぱんぱんでした・・・。そのほかにも、花火をしたり、きれいな夕日を見に海まで連れて行ってもらったり、お家のブルーベリーを摘ませてもらったりと、とても有意義な民泊となりました。

 お父さんの優しい瞳、お母さんの元気な声で気付いたら、初めの緊張なんてどこかに飛んでいってました。しかし、その頃にはもうお別れの時が迫っていました。短い間でしたが、ご夫婦の温かいおもてなしは決して忘れません。とっても、とっても楽しい民泊体験でした。
                              (川上)





大崎上島でのゼミ合宿〜民泊体験3


倫理学ゼミ、三年の松山です。

今回の夏休みのゼミ合宿は広島県の大崎上島での二泊三日でした。合宿ではホテルなどの宿泊施設を使わずに、一般の家庭に宿泊させていただく民泊を体験しました。

 宿泊先の方に会うまでは緊張していましたが、いざ家に行って家族の方と会話していくにつれ、緊張も取れて、いろいろな話ができるように。

地元でとれた新鮮な魚や、庭でとれた果物などを食べながら聞いた畑仕事の話や、造船所の話、近所の方とお互いに食材を分け合っている話など、とても有意義な時間を過ごすことができたと思っています。
蚊帳の内側から。

部屋で寝る際、蚊よけのために蚊帳を張って寝たり、お家のお風呂が五右衛門風呂だったので、お湯を沸かすために薪をくべて火をつけたり、このような普段ではできないことを体験できるのも民泊のいいところだと思います。

 何よりもうれしかったのは、二日目の朝、先生や役場の方との合流の際に「うちの子、三人よろしくね!」と言ってくれた民泊先のお母さんの言葉でした。

今思うと、いろんな形で泊めていただいた恩返しをしておくべきだったな、と感じてます。とても優しく、笑顔が素敵な方々でした。本当にありがとうございました。
(松山)

大崎上島でのゼミ合宿〜民泊体験2


ゼミ生の秋葉です!!!!!2泊3日のゼミ合宿について書きたいと思います。

初めての広島県!そして大崎上島!海なし県(山梨県)で育った私にとって、海に囲まれた島での生活は憧れでした。合宿初日、島に向かうフェリーの中、島で過ごす日々にワクワクする一方で、お世話になる民泊の方々と上手くやっていけるだろうか……という不安。今回は、3日間お世話になった民泊体験について書きたいと思います。

民泊でお世話になったのは藤原さん夫妻です。とても良く接していただき、充実した日々を過ごしました。初めての大福づくり(イチヂク大福)や、時間をかけてつくる料理(一人暮らしでは、なかなか手の込んだ料理をしないもので……)。用意してくださった手持ち花火をするために、外に出たけれど、闇の深さになかなか目が慣れず、「これが本当の夜なんだな」と感じました。藤原さんが育てているブルーベリーをもいで、そのブルーベリーの甘さに驚きました。

民泊を通して、「自然の豊かな場所で暮らすってこういうことなのかな」と思いつつ、「今回、私がした体験はいいとこ取りだな」とも思いました。野菜や果物は、時間をかけて育てるものだし、今回は用意されていましたが食材は自分でスーパーに調達しに行かなければならない。『初めて』だらけで楽しいと感じたけれど、『日常』になったらどうだろう、と自分に問いかけていました。それでも、ゆったりとした時間が過ごせそうだと感じる島の生活は、私には魅力的に映りました。

合宿最終日、島を離れるフェリーに乗る前、民泊期間中に撮ってくださった写真を持ってきてくださり、涙を堪えながらお別れの言葉を言いました。3日間しか過ごしていないけれど、本当の家族のようで「まだまだ一緒に過ごしたい」、「また絶対に会いに来るぞ!」と思えるほど充実した時間を過ごしました。乾いた心が潤っていく、そんな感覚でした。

島を離れるフェリーに乗り込んだ後、甲板に出て島にさよならと手を振ろうかと考えましたが、離れていく島を見るのがつらく、客室でじーっとしてしまったことが心残りです。
また、行きたいな。藤原さん、ありがとうございました。
(秋葉)

2014年9月12日金曜日

大崎上島でのゼミ合宿~民泊体験1

ゼミ生の郷野です。9/4から2泊3日で広島県、大崎上島にゼミ合宿で行ってきました。

大崎上島は瀬戸内海、芸予諸島の離島で、竹原港からフェリーに乗って行きます。初日は岡本醤油工場、神峰山、海と島の歴史資料館・大望月邸を見学したのですが、今回は民泊体験について書きたいと思います。


民泊でうかがったお宅は、母屋は築167年、離れも90年以上の立派なお家で、お父さんの家系はなんと450年以上ととても古く、大正時代には造船業、郵便業も行っていたそうです。

家に着くとさっそくお母さんお手製のシャーベットをおやつに頂きました。甘酸っぱくて美味しく、自然を感じることができました。
自宅の敷地内にはミカンなどの柑橘類をはじめいちじく、木いちご、なしなどたくさんの果物が育てられていました。そのひとつにポーポーという珍しい果物があり、いただいたのですが食感はねっとり、味はとても甘く独特の香りのするトロピカルフルーツでした。 

五右衛門風呂を沸かす様子
夕食は鯛のお刺身、塩焼、から揚げをはじめ、自宅で採った野菜を使った豆腐の酢味噌和えやエビのかき揚げ、メバルのから揚げなどなど…とても贅沢な内容でした。天然鯛は身が引き締まって良い食感です。どれも美味しかったのですが、なかでも鯛の頭でだしをとったお吸い物が体に染み渡る絶品でした。

2日目夕方には五右衛門風呂のお湯沸し体験をしました。
意外と難しく、なかなか火力が上がらない(汗)、
ミカンの木が薪より火力が出る、煙突にススが詰まると火力が出ない、など色々なことをお父さんに教えてもらい勉強になりました。

蚊帳を吊りました

2泊の民泊は楽しく時間があっという間に過ぎてしまいました。ご近所さんとの物々交換、自家発電など自給自足の成り立つ島の「豊かさ」を実感しました。また都心の生活ではなかなか忘れがちだったり、感じられない「幸せ」が当たり前のようにそこにはあり、そういった「幸せ」の中で暮らすことをとても素敵に感じました。そういった島の生活を垣間見れたことはとてもいい経験であり、今後の自分はどうやって暮らしたいのか考えるきっかけになりました。人生観の幅が広げることができたことがなによりで、それだけでも島に行ってよかったと思っております。

民泊を受け入れてくださったお父さん、お母さんには本当にお世話になりました。ご厚意に心から感謝感謝です。ありがとうございました!
(郷野)

広島の大崎上島でゼミ合宿

教員の相澤です。

9月4日から6日の二泊三日で、広島県の離島 大崎上島町にてゼミ合宿を行いました。大崎上島は、瀬戸内海の中央、芸予諸島に浮かぶ島です。今回のゼミ合宿は、自然の豊富なこの町で様々な体験をし、今後の生き方を考えることを目的として実施しました。

島の産業の見学や体験、地元の家庭でのホームステイ(民泊)など、もりだくさんの三日間でした。合宿の概要は、私が、全学共通教育センターのブログに執筆しました(初日 / 二日目 / 三日目)。今後数回に渡って、ゼミ生が詳しい体験記をゼミブログに執筆します。

今回の合宿では同町のみなさま、役場のみなさまから多くのサポートをいただきました。最初に記して、感謝申し上げます。

*学生によるゼミ合宿記一覧
川上さん: Iターンした佐々木さんのお話 / 民泊体験
松山さん:再び神峰山へ / 民泊体験 


(相澤伸依)

2014年8月8日金曜日

プロ野球観戦

ゼミ生の郷野です。昨日7日にゼミの課外活動で、プロ野球を観戦しに神宮球場に行ってきました。

スタンドで。
試合前に佇む「つば九郎」。
実物はかわいい。

松山君が阪神ファン、自分がヤクルトファンということで、この対戦カード(ヤクルト阪神17回戦)を見に行くことになりました。球場は夏休みということもあって子ども連れが多かったです。

四時間の試合。
最終スコアは4対11でした。

試合は、ヤクルトが4回の一挙7得点以降追加点を重ね、投げては先発の村中投手が6回3失点と粘りのピッチングで、珍しく投打がかみ合い終わってみれば13対4とヤクルトの圧勝でした。他のゼミ生はあまりに一方的な展開で少し退屈だったかもしれませんが、自分はホームラン3本を含むヤクルト打線の爆発を見ることができ大満足です。




内野のグランドに近い席で、熱気に包まれた球場の雰囲気も感じられました。ライブでの観戦はTV越しにはない楽しさがあり、何度でも足を運びたくなります。また、花火の打ち上げも見ることができて良い夏の思い出になりました。
(郷野)

2014年7月23日水曜日

前期最後のゼミ&懇親会

担当教員の相澤です。今日の夕方、前期最後のゼミを行いました。

相澤ゼミでは、9月初めに広島県の大崎上島でゼミ合宿を行います。島では、Iターンの方、Uターンの方、または島でずっと暮らしている方など様々な方にお会いする予定です。島の方々へのインタビューを通して、自分の生活や今後のキャリア設計を考えるという趣旨です。

そこで、今日はその準備として、現段階での自分のキャリア設計をみんなで発表しあいました。どこでどういうふうに暮らしたいのか、自分は何を大事にして生きていきたいのか、プレゼンと質疑応答を通して考えを深めました。合宿を経て、考えは変わるのか/変わらないのか、違った視点を得られるのか/得られないのか。この点は後期のゼミで掘り下げたいと思います。

ちなみに全員成人です!
ゼミ後は、国分寺の居酒屋で懇親会を行いました。実は本ゼミ初の飲み会。わいわい飲み食いしました(その様子は写真からうかがわれるでしょう?)。夏休み中にゼミ有志でイベントを開催する企画も出ました。せっかく一年一緒に勉強する仲間なので、楽しい思い出を作れればと思います。
(相澤伸依)

2014年7月16日水曜日

2014年 第13回ゼミ

ゼミ生の山本です。本日のゼミ活動の報告をいたします。
先週で輪読は終わったので本日は読書会形式でゼミを行いました。

今回のテーマとなった本は、亀井伸孝『手話の世界を訪ねよう 』(岩波ジュニア新書、2009年)です。

健聴者の人はろう者たちが使う手話についてあまり馴染みのないものだと思います。
手話というのはジェスチャーの延長のようなものであるかのように思えます。
しかし、手話というのは文法や豊かな表現をもつ立派な言語なのです。

本日のゼミでは、そういった手話やろう者という題材をもとに、健聴者とろう者の文化の違いやろう者とどう向き合っていくかといった内容の討論をいたしました。
はじめての読書会形式のゼミということで慣れない部分もありましたが有意義なものにできたのではないかと思います。

次回のゼミでは、合宿の準備を行い、そこで将来の人生設計についての発表をします。
合宿の計画や準備も順調に進んでおり、合宿に行く実感がわいてきて今から楽しみにしてます。

2014年7月2日水曜日

2014年 第12回ゼミ


教員の相澤です。体調不良で欠席者続出につき、私が報告します。本日は学生3人と私とちょっと寂しい授業になりました。

前半は『ヨーロッパ思想入門』の輪読でした。今週は、秋葉さんと高橋くん担当で、第五章の「実存の哲学」の残りを読みました。前期の授業10回あまりをかけて、やっと読み終えることができました!みんなの感想を尋ねたら、「特に後半が難しかった」とのこと。私も同意です...

さて、後半は読書報告。松山くんが松元雅和著『平和主義とは何か - 政治哲学で考える戦争と平和』(中公新書、2013年)を紹介してくれました。

最後に今後の予定についてみんなで相談しました。後期は、文章作成の練習ゼミと読書会形式のゼミを隔週でやっていくことを決めました。何を課題本にするか、夏休みに練ろうと思います。
(相澤)

2014年6月25日水曜日

「十九歳のジェイコブ」観劇記


去る6月20日に、ゼミの課外活動として、新国立劇場に演劇「十九歳のジェイコブ」を見に行きました。参加した川上さんの観劇記です。

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演劇「十九歳のジェイコブ」を観て

―なあ、俺たち何なんだろうな。人間の顔した・・・―
私がいちばん頭から離れなかったセリフである。この作品を鑑賞した後、かなり考えさせられた。
当たり前の話だが、この世の中にはいろんな人間がいる。そのため、格差が生じるのも仕方のないことだろう。適切な表現ではないかもしれないが、ここではわかりやすくするために、人々を社会的地位で「上・下」に分類するとしよう。本作の主人公、ジェイコブは「下」の人間であった。突然どこかに電話をかけるジェイコブ。「こちら側からはすべて見えている。」受話器の向こう側には「上」の人間。そう、下から上は想像することができるし、憧れや、時に憎しみから想像しようとするだろう。しかし、その逆の上から下は想像しようとしない。この一場面を見て、ふと気づかされた。自分がどちらに分類されようとも、想像するなら、自分よりも上しか見ようとしていなかった。それは、目標や向上心、憧れなどからくるもの。僅かな妬みも含まれているのかもしれない。いずれにせよ、私は自分よりも下を見ようとはしなかった。
この作品を観終わって、私の頭の中はクエスチョンマークしか浮かばなかった。まるで、現代アートをみているようだった。しかし、難しい、結局何が言いたかったのかと、私の頭の中はまんまと『十九歳のジェイコブ』に占有されていた。結末が皮肉的であったのせいもあるだろう。
人生二回目の演劇鑑賞であったが、こうして普段は気づかないことにはっと気づかされたり、自分について考えてみたり。これも演劇の魅力のひとつだろう。
                                   (川上)

2014年 第11回ゼミ

教員の相澤です。本日、ブログ担当者を決め忘れていた(すみません...)ので、私が報告します。今日は二人が病欠。学生4人と私とちょっと寂しい授業になりました。

前半は『ヨーロッパ思想入門』の輪読でした。今週は第3部第4章「社会哲学」の後半(川上さん担当)と第五章の「実存の哲学」前半(秋葉さん担当)を読み終えました。うまくいけば来週には読み終えられそうです。

後半は読書報告。

郷野:『物語 ストラスブールの歴史 - 国家の辺境、ヨーロッパの中核』、中公新書、2009年
川上:三瓶恵子『人を見捨てない国、スウェーデン』、岩波ジュニア新書、2013年
相澤:駒崎弘樹『「社会を変える」を仕事にする:社会起業家という生き方』、 ちくま文庫、2011年


最初の頃に比べると、みんな読書報告に慣れてきた気がします。例えば、各自が持参した本をチラ見すると、付箋がたくさん貼付けられて、読書の技術が上がっているのが見て取れます。読書って、慣れれば効率よく進められるもの。この調子でがんばっていきましょう。
(相澤伸依)

2014年6月19日木曜日

2014年 第10回ゼミ

こんにちは!ゼミ生の山本です。
昨日のゼミの報告をさせていただきます。

前半は、いつもとは気分を変えて読書報告からでした。

山本:奥村宏『判断力』、岩波新書、2004年
秋葉:佐々木隆『言霊とは何か』、中公新書、2013年
郷野:加藤文元『物語 数学の歴史』、中公新書、2009年
高橋:釘原直樹『人はなぜ集団になると怠けるのか』、中公新書、2013年

後半は『ヨーロッパ思想入門』の輪読でした。今週は第3部第3章の「経験主義の系譜」と第3部第4章の「社会哲学」の前半まででした。レジュメ担当の川上さん、松山くんお疲れ様です!

『ヨーロッパ思想入門』の輪読ももうそろそろ終わりですね。
あと少しがんばっていきましょう!
この輪読が終わったら読書会形式でやるようです。

そして、金曜日には第二回の演劇鑑賞があります。
今回は「19歳のジェイコブ」を見に行きます。
僕は演劇を見に行くというのは初めてなので楽しみです。

2014年6月18日水曜日

書評:『友情を疑う』

清水真木『友情を疑う』、中公新書、2005年

本書は、哲学史における様々な友情論を紹介し、友人や友情に対して期待されてきた役割や価値を考えるものである。

私たちが手にする友人や友情に関する本は、その著者が自分の経験を基にして“上手く人と付き合う方法”を説くハウツーものが多いのではないだろうか。しかし、本書はそのような実践書の類ではない。友人や友情の意味を明らかにしようとした哲学者たちの遺した言葉を辿り、そもそも「友人」と呼ぶ人はどのような条件を満たしているかを論じる。人付き合いのハウツー本を多く読んできた人には新鮮に感じる内容であろう。

本書では、主に6人(アリストテレス、キケロ、モンテーニュ、シャフツベリ、ルソー、カント)の哲学者の思想が紹介されている。哲学は難しいというイメージを持っている人は、第1章や2章の内容は当時の社会状況の違いから理解しにくいかもしれない。だが、3章からは、私たちが体験したことがあるような具体例が多用されるので、とてもわかりやすい。自分の経験に引きつけながら、哲学者の考えに共感や批判といった自分なりの意見を持つことができるだろう。読後、「哲学はやはり難しく、全く理解できない」と感じる人は少ないはずである。哲学の面白さが伝わる一冊だ。
(秋葉)

2014年6月16日月曜日

「テンペスト」観劇記


去る5/23に、ゼミの課外活動として、新国立劇場にて演劇「テンペスト」を鑑賞しました。参加ゼミ生による観劇記です。

「演出に魅せられて」
積み立てては崩していくという段ボール箱を使用した演出は新鮮であった。積み上げられたものを崩すというのは、何かの崩壊がイメージさせられる。しかし、積み上げた段ボール箱を崩すことへの役者の勢いと清さに心地よさを感じた。
演劇の始まり。それは、舞台の上に何か映し出されることから始まった。そのものへの興味が、私の目を舞台へと静かに導く。物語が進んでいくと同時に、会場の空気が一体になるのを感じた。息をのむ張りつめた瞬間、華やかな演出に心躍る瞬間など、会場に流れる空気は状況に応じて変化した。それを肌で感じた瞬間に気持ちが高ぶった。その時、実際にその場所にいる、という価値を理解した。
スポーツやオーケストラの演奏は見ようと思えば、画面を通して見ることができる。私は今まで、画面でそれらを見れば全体がよく見渡せるので、実際に会場に行くより良いのではないかと思っていた。しかし、劇場で観劇してみて、それは違うのだと感じた。
今回は、段ボール箱での演出が特徴的であったが、その他の演劇はどのような演出なのかも気になる。機会があれば、違う作品を観劇し違いを楽しみたいと思う。


(秋葉)

2014年6月12日木曜日

2014年第9回ゼミ

おはようございます。ゼミ生の松山です。
1日遅れではありますが、ゼミの活動報告をさせていただきます!
雨が降る中、無事に全員出席!

今週は『ヨーロッパ思想入門』の第3部・第2章「理性主義の系譜」の輪読を行いました。
レジュメを作ってくれた秋葉さん、お疲れ様でした。
授業前に読んできたものの、理解するのが難しく、ゼミの授業の中でも頭がパンクしそうになっていました...。
ほかのゼミ生はどうだったのでしょうか?難しく感じたのは自分だけですか?

そのあとは、恒例の読書報告です。
山本君は『ホンネで動かす組織論』、太田肇、ちくま新書、2004年
高橋君は『ドイツ傭兵の文化史』、ラインハルト・バウマン、菊池良生訳、新評論、2002年
郷野君は『JAL再建の真実』、町田徹、講談社現代新書、2012年
短い時間での発表でしたが、どういう内容なのかがしっかりわかる発表だったと思います。
3人とも、ありがとうございました。

来週の輪読は、川上さんが担当の第3章と自分と川上さんの担当する第4章です。
川上さんは大忙しになりそうですね...。
自分も少しでも皆さんの理解が深まるようなレジュメを作っていきたいと思います。

来週も全員集合で頑張りましょう!!!!!







2014年6月4日水曜日

2014年度第8回ゼミ

こんにちは!ゼミ生の川上です。
夏が近づき、暑くなってきましたね。しかし、暑さに負けず、本日の相澤ゼミは全員集合です!!

今週のゼミ活動
まずは、引き続き『ヨーロッパ思想入門』の輪読。高橋さんが第2部第5,6章、山本さんが第3部第1章の要約を発表し、理解を深めました。
今回のゼミで第2部「ヘブライの信仰」を終え、第3部「ヨーロッパ哲学のあゆみ」へと入りました。

そして、「今週読んだ本」は以下のとおりです。
松山:深谷昌志『父親-100の生き方』、中公新書、2008年
郷野:高野秀行『謎の独立国家ソマリランド』、本の雑誌社、2013年
秋葉:小谷野敦『友達がいないということ』、ちくまプリマー新書、2011年
川上:四方田犬彦『「かわいい」論』、ちくま新書、2006年

輪読の際、相澤先生から西洋宗教を学ぶことで西洋絵画の理解が深まると聞きました。まったくその通りだと思います。何も知らなければ、「この人馬から落ちてる〜」で終わるところが、知識があれば「これは、パウロの回心だ!輝く天からの光に撃たれて盲目になり...」と感じられるものが格段に増えますよね!
これは、絵画だけでなく、演劇にも言えることではないですか!?ということで、ゼミ生のみなさん、みんなで演劇行きましょうよ!!
(川上)

(*相澤注:先日、ゼミ生有志でシェイクスピアの演劇「テンペスト」を見に行ったのです。その感想は近々アップします。)

2014年6月1日日曜日

書評:『アメリカ大統領の権力―変質するリーダーシップ』


砂田一郎『アメリカ大統領の権力―変質するリーダーシップ』、中公新書、2004年

本書は、アメリカの歴史の中で大統領はどうリーダーシップを発揮してきたかを解説している本である。

 アメリカの選挙制度、大統領制という組織についての解説と、アメリカにおける首席補佐官の権力、ホワイトハウス内のオフィスにおける連携などの記述があるので、組織のシステムを理解することかできる。最後に著者自身がアメリカ政治の研究で得た知識、宗教や人種による多文化性などの様々なアメリカの性質を加味した上で、今後の大統領制やリーダーシップのあるべき姿を述べている。

 補佐官によって、組織のあり方、政治的な優先順位の位置づけなどが、政権ごとに変わってしまうという本文の内容から、補佐官の性質によっても国政が大きく変わってしまうことがわかる。この本を読むまでは、大統領の権力は絶対的なものだと思っていたが、実際は、柔軟で場当たり的に構築されていることに驚いた。このように、自分のもっているイメージとは違うアメリカ政府の組織についてを知ることができ、面白い。
(松山)

2014年5月28日水曜日

2014年度第7回ゼミ

教員の相澤です。本日は欠席者多数のため、私が代筆します。

今日の前半は、『ヨーロッパ思想入門』の輪読をしました。
郷野さんが第二部第五章「イエスの教え」の第三節「神の国」までを要約発表しました。キリスト教の基本的な思想を学ぶ部分で、なじみのない人(私含む)にはピンとこないところもあったようです。次回は第五章の残りと第六章を高橋さんが、第三部第一章を山本さんが担当します。

後半に行く前に、私からプレゼンの仕方のコツを説明しました。話すスピードや視線の配り方などにちょっと気をつけるだけで、プレゼンの印象は大きく変わります。そこで、プレゼン評価用紙を用いて、留意すべきポイントを解説しました。

続いて後半は、秋葉さんと山本さんの読書報告です。聴く人は、上記評価用紙にプレゼンで気づいたところを記入しつつ、耳を傾けました。

山本さん:師岡康子『ヘイト・スピーチとは何か』、岩波新書、2013年
秋葉さん:清水真木『友情を疑う、中公新書、2005年

質疑応答を経て、聴き手から発表者に評価用紙を渡しました。評価用紙にはネガティブな評価も書かれていましたが、めげずに(?)、自分を客観視してプレゼン技術を改善するヒントにしてほしいと思います。

最初に書いたように、今週はゼミ生6人中3人が体調不良で欠席でした。前期の疲れが出てくるこの季節、体調管理には特に気をつけてほしいと思います。休んだ方、お大事に!
(相澤)

2014年5月23日金曜日

書評:『「リスク」の食べ方―食の安全・安心を考える』

岩田健太郎『「リスク」の食べ方―食の安全・安心を考える』ちくま新書、2012
 
本書は様々な事例の検討を通して、食に対する「リスク」や「安全・安心」の在り方を問い直す。
 
感染症の専門医である著者は、ユッケによる大腸菌感染症から厚労省がレバ刺し禁止に至るまでの背景を考察している。そしてレバ刺しの禁止は私たちの役所依存体質を高め、逆説的に他の食品の安全リスクを高めることになると主張している。後半では、トクホの実態、健康増進を謳う本の検証、放射能が食べ物にもたらす影響などに触れ、最後に原発再稼働のリスクについて食べ物の枠を超えて言及している。
 
どんな食べ物でも(たとえ薬であっても)二面性、リスクがあることを承知の上でそれに対峙していかなければならないこと、そして「安心」の過度な追求が実は「安全」を壊してしまうことを意識するきっかけになる一冊だ。
(郷野)

2014年5月21日水曜日

2014年度 第6回ゼミ

こんにちは。ゼミ生の郷野です。

今週のゼミ活動は前半に『ヨーロッパ思想入門』の輪読をしました。
川上さんが第二部第二章を、松山さんが第二部第三章と第四章の要約発表し、理解を深めました。
今回は第二部Aの旧約聖書の内容とB新約聖書の冒頭部で、次回は新約聖書の内容になります。

後半は「今週読んだ本」の報告。取り上げた本は以下の通りです。
高橋さん:猪木武徳『経済学に何ができるか』中公新書、2012年

秋葉さん:加藤秀俊『取材学』中公新書、1975年
相澤先生:阿部彩『子どもの貧困II』岩波新書、2014年

秋葉さんが報告の中で図書館の利用について触れられていました。
最近は本を探すときにPCの検索機で、ということが自分も多かったので、
ゆっくり図書館を見て多くの本を手に取りたいと思います。
(郷野)

2014年5月15日木曜日

2014年度 第5回ゼミ

こんにちは!ゼミ生の高橋です。5月14日に第5回ゼミを行いました。

前半は『ヨーロッパ思想入門』の輪読。山本さんが第一部第五章を、秋葉さんが第二部第一章を要約発表し、理解を確認しました。
今回のゼミで第一部の古代ギリシア思想の内容が終わり、第二部のヘブライの信仰についての内容に入りました。

後半は「今週読んだ本」の報告。取り上げた本は以下の通りです。
川上:鈴木光太郎『ヒトの心はどう進化したのか』、ちくま新書、2013年

松山:砂田一郎『アメリカ大統領の権力』中公新書、2004年
郷野:岩田健太郎『リスクの食べ方』、ちくま新書、2012年

今回、私はブログ更新係ということで、ゼミでの役割としてはコメント・質問を積極的にするということでした。しかし、いざとなるとあまり思いつかず、苦手意識があると感じました。今後も、毎回コメント・質問をする機会があると思うので、ゼミでの経験を通してコミュニケーション技術を磨きたいと思いました。
(高橋)

2014年5月7日水曜日

2014年度第4回ゼミ


ゼミ生の秋葉です。第4回ゼミを行いました。
前半は『ヨーロッパ思想入門』の輪読。郷野さんが第一部第四章を要約発表し、理解を確認しました。

後半は「今週読んだ本」の報告。取り上げた本は以下の通りです。
高橋:内山真『睡眠のはなし』、中公新書、2014
川上:川名好裕『恋愛の俗説は8割ホント。』、河出書房新社、2013
相澤:秋山なみ・亀井伸孝『手話でいこう』、ミネルヴァ書房、2004

授業の最後に、相澤先生から本選びについて出版社や著者に注目しようというお話がありました。次回以降、ゼミで紹介する本は意識して選ぶようにしたいです。
(秋葉)

2014年5月1日木曜日

書評:『アイルランドを知れば日本がわかる』

林景一『アイルランドを知れば日本がわかる』角川oneテーマ21、2006年

日本にとってあまり馴染みのないアイルランド。本書で著者は駐アイルランド大使を務めた経験から、独自の視点でアイルランドを紹介している。

前半ではアイルランド人が多く移住したアメリカの時代背景、ジャガイモ飢饉や英国の侵略を逃れた歴史を持つ多数のアイリッシュ系の人の活躍がかかれている。また今後もアメリカとの「特別な関係」が維持されると述べられている。中盤では隣国イギリスとの長い歴史的背景を追い、歴史の古さ、侵略併合から和平に至るまでの流れがかかれている。さらに、英愛関係の検討を通じて日韓関係が改善する手がかりを見出そうとしている。後半は文化、スポーツなど日本人に知られていない史実や日本との接点、日本におけるアイルランドの重要性か語られている。

本書では、興味深いエピソードや著者自身の体験が多く語られている。文化、政治、歴史と幅広く触れられていてアイルランドを知るにはうってつけの一冊だ。ただしタイトルのその通り日本がわかる内容ではなかった。
(郷野)

2014年4月30日水曜日

2014年度第3回ゼミ

担当教員の相澤です。第3回ゼミを行いました。

前半は『ヨーロッパ思想入門』の輪読。Tさんが第一部第二章を、Mさんが第三章を要約発表し、みんなで質疑応答をして、理解を確認しました。  

後半は「今週読んだ本」の報告。取り上げた本は以下の通りです。  
秋葉:岡本茂樹『反省させると犯罪者になります』、新潮新書、2013年  
郷野:林景一『アイルランドを知れば日本がわかる』、角川書店、2009年
山本:青柳幸一『憲法における人間の尊厳』、尚学社、2009年
相澤:亀井伸孝『手話の世界を訪ねよう』、岩波ジュニア新書、2009年

今回の報告では、タイトルと実際の内容が一致していないという感想が聞かれました。読みながら感じた違和感をちゃんと言葉にできたのは収穫と言えるのではないでしょうか。
(相澤伸依)

2014年4月23日水曜日

2014年度第2回ゼミ

担当教員の相澤です。第二回ゼミを行いました。
本ゼミでは、教科書の輪読を通して、文章を読む力を高めつつ、哲学に関する知識を身につけることを目指しています。本年度前期は、岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』(岩波ジュニア新書、2003年)を読むことにしました。
今回は、前半はゼミ生の「今週読んだ本プレゼン」、後半は私が『ヨーロッパ思想入門』第一部第一章を要約発表し、レジュメの書き方と発表の仕方のお手本(?)を示しました。

今週ゼミ生が報告した本は以下の通りです。
秋葉:竹内一郎『人は見た目が9割』、新潮新書、2005年
郷野:野矢茂樹『入門!論理学』、中公新書、2006年
川上: 草柳千早『〈脱・恋愛〉論―「純愛」「モテ」を超えて』、平凡社新書、2011年
松山: 林信吾・葛岡智恭『野球型 vs サッカー型 豊かさへの球技文化論』、平凡社新書、2004年
高橋:木佐芳男『〈戦争責任〉とは何か-清算されなかったドイツの過去』、中公新書、2001年
山本:アンドリュー・キンブレル『すばらしい人間部品産業』(福岡伸一訳)、講談社、2011年
相澤:宮野真生子『なぜ、私たちは恋をして生きるのか』、ナカニシヤ出版、2014年

ハズレの本を手にとってしまったとプレゼンしてくれた方もいました。ハズレの本でも、どこかハズレなのか、よくないのかを言語化できれば、充実した読書になります。ハズレをつかまない「目」は読書を積み重ねることで養われるはずです。
(相澤伸依)

2014年4月16日水曜日

2014年度第1回ゼミ

担当教員の相澤です。2014年度第1回ゼミを行いました。初回の内容は以下の通りです。
  1. ゼミの目的と計画の確認
  2. 話の「聴き方」に関する注意事項の説明
  3. 各自自己紹介
  4. 春休みの宿題として各自が読んできた課題本の紹介、質疑応答

みんなが読んできた本:
秋葉: 井上理津子『さいごの色街飛田』、筑摩書房、2011年
川上:加藤秀一『恋愛結婚は何をもたらしたか』、ちくま新書、2004年
松山:星野一正『インフォームド・コンセント―日本に馴染む六つの提言』、丸善ライブラリー、1997年
高橋:熊田梨恵『救児の人々 ~ 医療にどこまで求めますか』、ロハスメディア、2010年
山本:辻村みよ子『代理母問題を考える』、岩波ジュニア新書、2012年
相澤: 駒崎弘樹『働き方革命』、ちくま新書、2009年

授業では、読んできた本について口頭で紹介をします。別途書評(読み上げ原稿ではない)も書いてきて、教員に提出してもらい、添削指導を行います。本を読む習慣をつけつつ、口頭表現力と文章力を鍛えるのが目的です。
ゼミ生が書評を書くのに慣れたら、彼らの文章をこのブログに掲載したいと思います。
(相澤伸依)

2014年4月1日火曜日

相澤ゼミの紹介

 東京経済大学相澤ゼミは、「現代社会の倫理問題」というテーマでゼミを開講しています。教員の個人サイトはこちら


目的
倫理という切り口で、文献を手がかりに、現代社会について考えます。
具体的には、次のような能力を身につけることを目指しています。
(1) テキストを読み、内容を理解し、要約する能力。(理解力)
(2) 自分の考えを論理的に練り上げる能力。(論理力)
(3) 自分の考えを他者にわかるように伝える能力。(コミュニケーション力)

内容
基本は文献講読。担当を決めてレジュメを作成し、報告。その報告をふまえて、質疑応答およびディスカッションをします。読む文献は、履修者と相談しつつ教員が決定、指示します。
その他
レジュメ担当でない人は、「最近読んだ本」というテーマで三分程度のスピーチをします。
スピーチとは別に(関連していていいのですが、原稿読み上げではないという意味)、
読んだ本についての書評を書き、教員に提出。添削して返却します。話す力と文章力の向上を目的として行っています。
このブログには、学生が執筆したゼミ活動の報告記事や書評記事を掲載していきます。どうぞよろしくお願いします。 
(相澤伸依)